【感謝!】★700記念SS ⑤
「そうだね・・・僕の意見としては・・・」
真剣なまなざしで見つめてくる女の子。
「もし、そのスカウトを受けるとしてもすぐには学校を辞めなくてもいいんじゃないかな。だって、すぐにたくさんの仕事が入るかどうかわからないだろうからね。モデルになったとしても、しばらくは学校と両立できるんじゃないかな」
「でも、そういう中途半端なのって良くないと思うんです」
大真面目に言う少女。
どうも、思いこみが激しい性格らしい。
海斗は、ちょっと困りながら言葉を選んだ。
「僕の知っている人が言っていたけど、人生において判断する場合、常に選択肢を多く残しておく方がいいと言っていたよ。選択肢と言うのは言い換えれば可能性のことなんだって。自分の持っている可能性を自分で潰してしまうのはもったいないってね」
「可能性・・・ですか・・・」
「それに、女子高生モデルって・・・なんかカッコいいんじゃないかな?」
虚を突かれたようにポカンと見つめる少女。
「女子高生モデル・・・たしかにカッコいいかも・・」
海斗は、その子供っぽい仕草や考えかたをどこか大人びて見ている自分がいることに不思議な感覚を覚えた。
海斗も、ほんの数か月前までは高校生であった。そのころは、学校の中が世界のすべてと思っていた。
しかし・・・
ミキさんと出会って、自分は大きく変わった・・・成長したと言っていいだろう。
ミキさんからも、多くのことを教えてもらった。
ミキさんの知り合いの大人たちからもたくさんのことを学んだ。
そうして、海斗のしる世界はどんどん広くなっている。これからも多くのことを教えてもらい成長していくのだろう。
脳裏に、ミキさんの笑顔が浮かんだ。
早く、会いたくなった。
帰ろう。
ミキさんがきっと待っている。
「それじゃあ、そろそろ僕は行くね」
「あ・・・はい!ありがとうございました」
バイクにまたがる海斗に、少女は声をかけた。
「あ・・あの!」
「はい・・・?」
「私がモデルになったら、写真撮ってくれますか!?」
海斗は笑顔で答えた。
「ああ、僕がカメラマンとして一人前になっていたら。ぜひお願いするよ」
その笑顔に頬を赤らめた少女。
「きっと・・・きっとですよ。絶対モデルになりますから」
「うん、約束するよ」
そうして、彼はバイクで走り去っていった。
少女はその後姿を見つめ、改めて決意したのであった。
”絶対、モデルになる。そしていつか・・・”
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