【感謝!】★700記念SS ④

「あの・・・ちょっと相談に乗っていただけないでしょうか・・?」


 初めて会った女の子から、そう言われて海斗は困惑した。

 とはいえ、目を赤く腫らして真剣な表情。

 拒否することもできなかった。



「私・・・この間、原宿に友達と行ったんです」

 海斗の返事も待たずに話し出す少女。

「そしたら、モデルにならないかってスカウトされたんです」



 なるほど、その少女は比較的背が高くスタイルも良い。


 だが、海斗が思ったのは・・・

”うさんくさいなぁ・・・”

 であった。



「すっごいチャンスと思いませんか!?」

「は・・・はぁ」


「だから高校をやめて、スカウトしてくれた事務所に連絡しようと思ったんです!」

「え?」


 あくまで、少女は真剣な表情。


「なのに、お母さんが猛烈に反対して・・・高校を辞めるのは絶対ダメだって言うんです」

 ぷりぷりと怒る少女。

「それで・・・私ってモデルで売れっ子になれるか、意見をもらいたいんです。カメラマンに言われたら、お母さんを説得する材料になると思うんです」


”え・・・・ええ~~~・・・!?”


 真剣な顔の少女。

 しかし、海斗からしても高校を辞めるのは・・・どうかと思う。


「学校・・・やめないと駄目なの?」

「だって・・・東京ですよ。東京なんてでモデルをやるのに学校なんか通えないじゃないですか」



 その言葉に、海斗は何となく腹落ちした。


 この子にとって、東京は”遠い場所”なんだ。



 海斗は、ここまで来たら東京まではあと少し・・・と思っていたのだが。

 この少女にとっては違うのだろう。



 そういえば、”いい天気”の常連たちと海斗で、距離感の認識がかなり異なっていた。

 海斗にとって、実家はかなり遠い場所と思っていた。しかしながら常連たちにとっては、それほど遠くない場所なんだろう。


 同様に、この少女にとって東京は遠い場所。

 だから、学校をやめるという極端な考えになっているのだろう。


「そうだね・・・僕の意見としては・・・」




◇◇◇◇◇


 長くなりそうなので分割します。

 つまり、あと2話ほど続きます。


 よろしくお願いします。

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