アフターストーリー⑦ いつも一緒に

「卒業おめでとう~!」


卒業式の夜。ミキさんの家で卒業祝いをしてもらう。

リビングのソファに座り、ミキさんはお酒で僕はウーロン茶で乾杯する。

「ありがとう。ミキさんのおかげだよ」

「私も、そろそろ仕事が落ち着くの。だから、一緒にいられる時間が確保できそうよ」

「それはよかった。でも、無理しないでくださいね。

 僕のせいでもあるので、ごめんなさい」

ミキさんの仕事であるネイリスト。

年末年始から始まり、成人式から卒業式。一年で一番忙しいシーズンだそうだ。

それに輪をかけて、写真コンクールでの口コミで予約が大変なことになったらしい。

僕も、大学の合格発表からはご飯を作るとか家事とか、できるだけ協力したつもりだけど。半分は僕のせいで忙しいんだよなぁ。

「海斗君のおかげで、乗り切れたわ。ありがとう!」

嬉しそうにお酒を飲むミキさん。

ミキさんが嬉しそうだと、僕も幸せになる。

「そういえば、合格祝いも含めてって早乙女さんに卒業祝いをもらったんです」

「え?何をもらったの?」

ミキさんの親友の瀬戸さん。その彼氏さんの早乙女さん。

大学受験中なども、いろいろお世話になった。

早乙女さんにもらったのは、白い封筒。卒業祝いの文字が書かれている。

その封筒を開ける。


出てきたのは、温泉旅館の宿泊券が2枚。

あと、交通費と書かれた現金の入った小さな封筒。


「うわあ~、温泉?いいかも!海斗君、一緒に行こうよ」

「もちろん、行くとしたらミキさんとですけど。行けそうですか?」

「大丈夫!有給はたくさん余ってるから」

そうして、大学の入学前に二人で旅行に行くことになった。


二人の初めての旅行。

正直に言って、とてもうれしかった。

早乙女さんには感謝しかない。

電話で感謝を伝えると

「その宿は結構いいところだから、二人でゆっくりしておいで。

 卒業旅行にちょうどいいでしょう」

と言ってくれた。





僕は、入学まで暇。ミキさんは平日が休み。

ということで、予約は比較的楽に取れた。

特急電車で2時間。

降りた駅からは徒歩で10分くらいで宿についた。


温泉旅館に泊まるなんて、初めての経験。

ちょっと緊張していた。

チェックインして、宿のスタッフの人に案内される。

「こちらが、お部屋になります」

部屋に入って、ぽかんと立ちすくんでしまった。

僕にも、この部屋がかなりいい部屋だということがわかる。

畳のスペースと別に寝室がある。巨大なベッドだ。

「こちらは、部屋付きの半露天風呂の温泉になっております」

「え~!お部屋に温泉があるの?すごーい!」

ミキさんは興奮している。

「では、ごゆっくり・・」

宿の人が、カードキーを渡して退室していった。

早乙女さん・・・結構いいところって・・・

僕には分不相応な、物凄く高いお宿なんじゃないんでしょうか?


そのあと、ミキさんと一緒に温泉に入った。


「すごいわね!結構広いわよ!」

お風呂は二人で入っても十分な広さ。

僕とミキさんは並んで、外の景色を見ながら湯船につかっている。


「ミキさん・・」

「なあに、海斗君?」

僕の方に頭をもたれさせてくる、ミキさん。

上気して赤くなった頬。

色っぽい。


「僕は、ミキさんと出会ってから・・・毎日、一緒にいて楽しい事ばかりです。

 本当に、なんでこんなに幸せなんだろうってくらいに」

ミキさんは、微笑んで言った。

「私もね・・海斗君と会ってから、毎日が楽しくて・・幸せなの。

 だからね・・」

「はい」

ミキさんは僕の腕にミキさんの腕を絡ませてきた。

「これからも、一緒に楽しいことをしていきたいな・・どう?」


僕は答えた。


「そうですね

 これからも、楽しく過ごしましょう

 いつも一緒に」


そして、二人見つめあって笑った。

「大好きです」

「大好きよ」


そう、これからも楽しく幸せに過ごしていこう

二人、いつも一緒に。





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いつも読んでいただき、ありがとうございます。

ミキと海斗の二人の話は、ここで一旦は区切らせていただこうと思います。

年明けに、リクと奏良の話を公開予定です。

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