第7話 これが朝チュン?

ごめんなさい、構成を見直したので前話の最後の部分が変わっています。

もう読んだ方は申し訳ありません。


◇◇◇◇

目が覚めると、海斗クンはまだ眠っていた。

これは朝チュンってやつ? 小鳥の鳴き声は聞こえないけど。

朝の光の中で見る海斗クン。やっぱりタイプの顔。かわいい。

ほっぺたをツンツンとしてみる。

すると、ゆっくりと目を覚ました。

「おはよ」挨拶してみる。

少しはにかんだ笑顔の海斗クン。

すると、海斗クンのほうからキスをしてきてくれた。


キャー、うれしい!

もうね、うれしくてお姉さん頑張っちゃうよ!

朝ごはんとかお弁当とか。


朝ごはんを食べながらお互いのことを話す。

仕事のこととか学校のこととか。なんで一人暮らしなのかとか。

海斗クンは目の下の隈もなくなり、すっきりした顔をしている。

若いからってやりすぎはよくなかったね。つい調子に乗ってしまった。

「あ。学校行く前に制服に着替えなきゃいけないのでアパートに戻らないと、

 もう行かないとまずいです」

「あ、そうだよね。じゃあお弁当作ったので持って行ってね」

「ありがとうございます。ミキさんの料理おいしいです」

「うれしいなぁ」

「あ、もしかしてお弁当にハートマークとか・・・」

ブイサインで回答する。モチのロンよ!


靴を履いて扉を開ける、私も見送りに外に出る。

「あの・・ミキさん。写真撮ってもいいですか?」

海斗くんは持ってきていたカメラを取り出す。

「もちろんいいよ~美人に撮ってね」

にっこりと笑う。

「ミキさんは、とっても美人だから大丈夫ですよ」

にっこり笑う海斗クン。照れるじゃないか。

シャッター音・・真剣な顔でカメラで画像を確認する海斗クン。

「どう?」

「・・とても、きれいです・・・。あとで画像送りますね」

「期待してるよ~」

「ミキさん。相談に乗ってくれてありがとう。すっきりしました」

「それはよかった。私も楽しかったの。また来てほしいな」

「ええ、ぜひ。僕も楽しかったです」

去っていく、後ろ姿。別れはちょっと寂しい。

見えなくなるまで、見つめてしまう。


----


「うぅ・・・会いたい・・・」

2日もすると、もうダメ。

会いたくて会いたくてしょうがなくなる。

彼女ってわけでもないのに。

いや、だからこそ余計に不安・・・

もう会えないんじゃないかとか。


たぶん海斗クンの幼馴染は海斗クンをまだあきらめていないはず。


幼馴染・・・パワーワードね。

なんかもうね、言葉だけで勝てる気がしない。


出会って数日の年増女と、同い年の幼馴染。

さあ、どっちを選ぶでしょう~?・・・悲しくなってきた。


シクシク・・・


思えば、今まで付き合った男から”重い女”と言われること多々。

そして振られることが多い。

そうならないように、軽い女の振りをしてみたりして。

でも、本性は隠せない。


海斗クンに会いたい。会いたいよ~。

会って抱きしめたい。抱きしめられたい。

彼女じゃないけど・・まだ。


海斗クン、私を彼女にしてくれないかしら・・・

年増だけど・・

でも、乙女はいくつになっても乙女なのよ。


あぁ~!!誰か相談に乗ってくれないかしら。

親友は・・恋愛話に関して全く役に立たない。

なにしろ24歳にもなって処女。恋愛ほぼ未経験。

他にいないの?誰かいいアドバイスくれそうな人は!?


----


「いらっしゃいませ~」

常連と言っていいほど行きつけになっている店に入る。

結構遅い時間。


・・・いた。いやがった。


最近はあまり来ないくせに、今日に限って一人でワインを飲んでいる。

「お・・・こんばんわ高橋さん」

「高橋さんじゃないわよ!」


・・・・唯一思いついた、相談できそうな相手。

これが親友の彼氏。

超草食系。一度家に誘ったら、玄関だけでお茶も飲まずに帰りやがった。

親友もとても苦労しているらしい。

何度も泊りの旅行に行ったり、こいつの家に何度も泊まったようやく付き合ったとのこと。なのにまだ処女。

頭がおかしいとしか思えない。


「ちょっと!相談に乗ってほしいんだけど!」

「ええと、頼まれてると思っていいのかな?」

「もちろんよ!!」


具体的なことは一切話さない。好きになった相手がいること。

相手には幼馴染がいて、その娘も相手を好きなこと。

どうしたら付き合ってもらえるか・・?

そういった風に相談した。


「で、その高校生クンは好きって言ってくれてるのかな?」

ブフォッツ!!酒を盛大に吹き出しちゃったよ。

「な・な・な・・なんて!!??」

高校生って言ってないよ!?

「ちょっと考えればわかることだよ」

そうだよ、こいつやたらと勘がいいんだよ。

「・・・好きって、まだ言われたことない・・・」

「ふうん」

「だって、まだ会ったばかりだし・・」

なんか、話していて悲しくなる。

「そういえば、写真撮ってくれた・・」

スマホで写真を見せる。

その写真をしげしげと見て、そいつは言った。

「ふうん。なるほどね。たぶん、大丈夫じゃない?」

「な・・な・・なんで、そんなこと!?根拠は何よ!?」

「じゃあ。明日のお昼にメッセージで、次の休みに会う約束をしたら?

 ご飯食べた後のほうが良いから12時半ごろとかに」

確かに。

それが、一番まともな案。

「わかった、そうする」

「それにしても、本当によく撮れてるね」

「なに、じっくり見てんだよ」

恥ずかしくてスマホを奪い返す。

「じゃ、もう帰るから!」

もう、恥ずかしくてしょうがない。

席を立って、店を出る。


「おい。ちょっと!・・」

呼び止められたけど、知るもんか。


あぁ。明日の昼が待ち遠しい。

海斗クン会ってくれるかな・・・?

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