第二話天使は見た目に騙されるな

「遅いですよ!集合時間の30分前に待ち合わせ場所にいるのは常識ですよ?」


そこにいたのは長い白髪に華奢な体格をした少女は見た目に反してスーツを着こなし、きっつい言葉を流れるように並べてきた。


「すみません!神様の家からここまで来るのは少し時間が掛かりまして…」


ジブリールが俺の代わりに謝罪には到底及ばない言い訳を口に出したところで遮られた。


「言い訳は結構です!時間がないのですぐに周辺の案内をします」


「了解です」


「ここは天界でも一二を争う程の重要な建物通称『転生の門』です。施設の広さは全体像を目視出来ないほど広く今もなお増築中です。


「確かにここに来る際に横が地平線の彼方まで広がってるのが見えましたね」


ジブリールは初めてこれ程大きい建物に来たのでとてもテンションが上がっていた。


「私達が働いてるのはその建物の中心部にある転生の門の隣にあります」


「それはじいちゃんから聞いてるよ。ところでそこはどんな店なんだ?」


俺はこの天界が出来る頃からいるがここの転生の門の中心部には興味がなかったので知る機会がなかったのだがどんな場所なんだろうか?


「じいちゃん!?あなた…神様をそんな風に呼ぶだなんて…まぁ今は時間がないので見逃しましょう。」


名前もまだ教えてくれない少女は一瞬あたふたしたが咳払いをし話の調子を戻した。


「ごほん!話を戻します。私達が働く店は…おっと…ここの通路の先にあるのでそこに着いたら説明をしましょう」


話を戻しかけたが途中でやめてしまった。今俺達が通ってるのは関係者のみが通れる通路にいる。両隣ではどっかの漫画やラノベで見た素質がある者にチート級の武器や能力を渡して異世界転生をさせようと天使達が促している様が繰り広げられていた。ちなみにマジックミラーになってこちらが見れないようになっているらしい。


「さて着きましたよ!ここが『転生の門』中心部にある転生の間です!」


通路を抜けるとそこには開きっぱなしのとてつもなく大きな扉。全体像を目視出来ないほどの大きさが俺たちの前にあった。


「おおー!建物も大きかっただけに中にある門も大きいですねー!」


ジブリールは触りに行っても良いですか?と言ったがNoと答えられた。時間の問題もあるがそもそも天使があの門に触れた時点で大変な事になるらしい。天使といえども輪廻の輪に加わってしまい、人間の一生を終えないと帰って来れないのだ。


「だから決して触っちゃいけませんよ?」


「うぅ…分かりました」


「では先程の話の続きをしましょう。ここは転生の間といわれる場所です。生物があの転生の門から輪廻の輪に加わる前に手向けとして三大欲求の一つを十分に満たす事が出来る場所です」


三大欲求だから3つの区間に分けられてるのかと思うとよく見たら4つの区間に分けられていた。


「大抵の魂はこの3つのうちの一つに寄り満足したらその足で転生の門の中に入ります。ですがたまに生前に未練を残してどうしてもその未練を果たしたい魂がいるのです。その未練を果たす手助けをするのが私たちの仕事です」


そこで彼女は一旦区切りこちらに振り返りあらたまって俺に向けて


「ようこそ天使長ルシフ様、私の名前はザドキエル。この明星の明けのオーナーを任ぜられています。どうぞ一年間よろしくお願いします」


スカートの端を持ち片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばし満面の笑みで礼をした。


「こちらこそどーぞよろしくお願いします!」


俺もそれに返すように全力で声を張り上げ頭を下げた。


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あなたの未練潰します! 清白瀬見 @naduka

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