第3話 小学生の時の話

 六年生になってから何故か突然、モテ出した男の子がいた。


 クラス中の女の子が〇〇君がカッコいいとか言い出し、昼休みにその男の子が校庭で友達と遊んでいると窓から見て「キャーキャー」騒いでいたのだが、私にはその男の子のどこがカッコいいのか分からなかった。


 そして運命(笑)のバレンタインデー翌日。


 教室移動にも関わらず教室に忘れ物をした私は慌てて教室に忘れ物を取りに戻ると何故かその男の子が椅子に座ったまま動かない。


 もうすぐチャイムが鳴るというのにその男の子が教室に残っているせいか、その男の子をカッコいいと言っている女の子達も残っていた。


 何をしてるのかな?と思いながらも忘れ物を持って私が教室を出ようとした途端、男の子が急に立ち上がり「昨日はありがとうな」と言い捨てて教室を飛び出した。


 なんじゃそりゃ?と思っていたら女の子達が「キャー!昨日はありがとうな。だって!」って・・・。


 もう一度言おう。なんじゃそりゃ?


 後日、その男の子が友達に話しているところに遭遇して謎が解けた。


 その男の子にはお姉さんがいてバレンタインデーにチョコを幾つ貰ったか聞かれて、その男の子は「俺にチョコをくれる子なんていない」と言ったものの気になってこっそり学校に戻って机の中を見たらチョコが入っていた。


 でも誰がくれたか分からないので次の日の教室移動の際に自分が残っていたら、チョコをくれた女の子達も残ってくれるかもと思い実行。


 その男の子の思惑通りになったわけだが、誤爆されたこちらとしてはたまったものではない。


 真相が分からなかったらいまだにモヤモヤしていたかもしれない。


 ちなみにその男の子と同じ中学に進んだので、他の中学に行った「キャーキャー」言ってた子に偶然会った時に「ラブレターとか渡してあげようか?」と言ったら「あ、もう興味ないから」と言われた。


 中学時代その男の子がモテていると言う話は聞かなかったので実に短いモテ期だったようだ。


 それにしても見た目はただのワルガキだったのに行動がイケメン過ぎる!


 もしこの話を読んで心当たりのあった方。


 実話だけに名前も年代も一切出さないので公表した事は笑って許してほしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る