三廻り

(ホンロブ…?カフェなのかな?おしゃれそう…入ってみよう)

カラン

「いらっしゃいませ~」

(本のいい香り)

「いらっしゃい、お客さん初めてだね?」

そこには店主と思われる190を超えるほどの銀髪で大柄の外国人男性と、アルバイトのような20代前半ほどの金髪の男性と目つきの悪い男性がいた。その2人は何やら話をしていて

「なぁ、夢花がよ、そういやさ次の旅行どうする?」

「確かにぃ、疲れ溜まってきたし温泉なんかどう?」

なんて話が聞こえた

「嬢ちゃん、ここのお店初めて来たよね?」

「そうですけど、なんでわかるんですか?」

「そりゃ、来てくれるお客さんのこと全員覚えているからねぇ」

そう話すと、飲み物を出してくれた。

「え?私頼んでないですけど…」

「俺からのサービスだよ。」

ほら飲みな飲みな、コーヒーを出してくれた

「ダメですよ!払わせてください!」

そう言うと、大丈夫だよと言わんばかりにクマのようにデカい手で止めてきた。

「な、なんで私なんかにサービスしてくれるんですか?」そう聞くと

「嬢ちゃん可愛いからだよ。オッサンにいい顔させてくれって」と、ニッと笑って見せたす


「コーヒー美味しかったです!また来ます!次はちゃんと払わせてください!」

「おう!あ、嬢ちゃん、名前教えてくれねぇか?」

「な、名前ですか?」

「あぁ、俺、名前覚えるの得意なんだよ、ここ来てくれる常連さんは全員名前呼びなんだよ。」凄い…と感心してしまった。

井安いあ、井安、舞衣香まいかです!」

「そうか。舞衣香って言うのか…いい名前だな。」


ご馳走様!そう残し彼女は去っていった。


「よっし!もう16時か…おっし、今日はBARも無いし帰るか。おーい、アホ2人今日は切り上げるぞ〜」

るっせ!アホじゃない!とバイトの2人は別々の返事をして来た


「…会えたな」

さんなんか言いましたか?」

「ん?あぁ、いやなんもねぇよ。ちっとな」





主人公は人殺しの冤罪をかけられてしまった。

その後とある事がきっかけでその冤罪が晴れ、主人公は死刑を逃れ自由になった。

1つの難点を残し。

主人公は罪を着せようとしてきたヤツらに目をつけられていた。

主人公はそいつらが自分と、婚約相手を殺すことを実行しようとしている事を聞いた。

彼は愛する人を守るため、そして愛する人を孤独にしないために、婚約者と自分に暗示をかけた。そしてある日結婚を決めた人との家に火を放たれた。



「ッ!何?今の…夢?」

時計に目をやった、まだ深夜1時すぎだった。その後、その夢が原因でなかなか寝付けず、昨日購入した本を読み時間を潰していた。

「あ!そういえばマスター、今日夜変な夢見たんですよ」

と、マスターに今日見た夢の話をした。

変わった夢だな、とだけ言っていた。

「そうだな。面白い話…あぁ、俺がなんでこの店開いたか聞くか?」

地味に気になった…なぜ外国人のマスターが日本で喫茶店兼BARを営んでいるのかが。

「聞きたいです!」

そう言うとニンマリと笑って話し始めた。


名前は、ユーズベルト・ロジ・バテンってな。

元々日本が好きだったんだよなぁ。んでよ

たまたま、旅行に来ていたバイトのアホ2人と、その友達と会って、日本に行こうと思ったんだよ。まぁ、元々金とかも、稼いでたからよ、コッチで開くのには問題なかったしな…そんで、こっちで店開いたんだよ。そしてな、ここの常連さんとかに元々アメリカいた時の愛称の「ユジン」って言ってもらったたんだがな。そのうち常連の1人が「ユジンって言いずらいよな〜日本好きなら…あっ!ユウジとかどうよ!?」って言われてな。今はそういう感じだな、ほとんど俺の生い立ちやったな。


「ユウジ…?」

「だろうな…」

「さてと、真実までたどり着いた。だけどよ…俺。いや、俺らの運命ってのは、俺らの運命にかけられた暗示ってのは、死と隣り合わせなんだよ。会って気づいてからは遅い。」

「え?何言ってるんですか…?」

さぁ、帰った帰ったと、追い出すように私を店から出した。

その時のマスターの顔はいつものおちゃらけた雰囲気とは違う…堂々とした顔をしていた。




その後、ユウジが経営するホンロブはなくなった。


パサッ

新聞がテーブルに置かれた。

見出しには

外国人男性が集団リンチに会い死亡と大きく書かれていた。

「ユウジさん。アンタ、ウイスキーが大好きだったな。飲んでください。俺からの奢りです。」

「元気にしてますか?もう1年ですよ?よーやんと僕は知ってますよ。彼女を庇ったってこと。」

「また、これやってくださいよ…私ユウジさんのコーヒーが大好きなんですから。いつかアメリカまた行きましょう。」


「聞こえてるさ。元気にやってるさ。」


そよ風が3人のいる喫茶店に吹き込んだ。

カラン

答えるように氷が溶け音がなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る