二廻り

僕は学校が嫌いだ。

僕は家が嫌いだ。

僕はこの世界が嫌いだ。


学校に行けば皆に悪口を言われるし。何もしていないのに転ばされるし。

教科書とか隠されるし。机に「死ね」「学校くんな」って落書き書かれてるし。先生に助けを求めても無視されるし。

家に帰れば帰ったで、毎日のように父親に殴られる。母親は見ないふり。

なら警察に行けば?って思うかもだけど、1度それをやってバレて酷い目にあった。

そんな僕にも一人だけ好きな人がいた

真衣嘉まいかちゃん、僕といていいの?」

「うん!楽しいもん!いつまでも辛気臭い顔しないの!」

もう!そう彼女は残して家に帰っていった。

「………僕も帰らないと」


「ただいま…」

そうつぶやくと

ガタンッ!

優司ゆうじ!!!おせぇんだよ!!ボケが!!」

ゴスっ

「ッ!!」

「てめぇのせいで晩飯冷めちまうだろうが!!死ね!!」

どすっ どかっ

「チッ!腹立つなぁ、優司!お前は夕飯抜きだ!反省してろ!!」

…痛い

ぐぅぅ

お腹すいたな。でも僕の分ないのか…

もう嫌だなこんな生活…


「次はあんたか?ひでぇ家に生まれたもんだな、親父の頭、トチ狂ってんじゃねぇのか?」

(!)

返事をしようにも声が出ない

「まぁ、俺がこんなえらい口叩けるようなわけじゃないけど、あと6回だ」

(6回?何のこと?)

「正直なところ俺にもよく分かんねぇ、ただあと6回、もしだめなら、きっと、いや必ず次は無い。伝えろ、俺にはできなかった。」


朝、目が覚めた理由はいつものように目覚まし時計の音ではない

けたたましいサイレンの音だった。

「…けっこう近く?」

家の近くから音がした

(え?)

昨日から災難だらけだった。

変わった夢も見た。

そして、今

の友達、いや、大好きな家が燃えている。

「うそ!」

周りを見渡すと、野次馬の中に紛れて

「おじさん!おばさん!優司は!?」

ボンっ!

大きな爆発音が響いた

直後、思いもよらない言葉が聞こえた

「へっ!あんな野郎が逃げ遅れたところで知るかよ!サツにゃぁ、悲しい顔して、演技でもすりゃいいな!」

そんな言葉だった

「え?おじさん?何言ってるの?嘘だよね?」

「俺がそんなつまらない嘘をつくはずねぇよ!アイツが死んでせいぜいするぜ!」

「ふざけないで!おじさんが優司に死んでほしいって言うなら!私は優司に生きてほしい!」

そう言い私は燃え盛る家に走り出していった


燃え盛る炎はまるで、死へいざなう死神のようだった

「熱い…優司!どこ!?けほっ」

黒煙の中から、かすれた声が聞こえた

「真衣嘉…ちゃん?な…んで?」

そこには痣と煤だらけの親友がいた。

「なんでって…優司を助けに来たんだよ!ほら!逃げるよ!」


だが既に遅かった、何もかも、

燃え盛る炎はすでに私たちを包み込んでいた。

まるで始まりのときのように。

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