一廻り

佑二ゆうじさん、輪廻転生って信じますか?」

「輪廻転生?あぁ、まぁ信じてるよ。」

周り、に火が周ってきた。もう少しでこの家は焼け崩れるだろう。

「そうですか、なら私、生まれ変わったら、また、佑二さんと結婚する!!!約束ですよ?」

「そうか、なら俺も約束する。たとえどんな姿になったとしても、必ず迎えに来る。」

そう涙とすすで顔を汚しながらも、笑顔で約束をした、あの炎に包まれ輝いていた夜のことは、忘れない。


「いいかぁ~輪廻転生って言葉はなぁ~」

とある火曜日の昼下がり、俺は古典の授業に飽きていた。

「はぁ、輪廻転生ねぇ…俺はそんなの信じねぇしいいや。」

「以外にもお前らのうち誰か転生してっかもしれねぇぞ。」

古典の時間にこの話は分からんくもないけど、輪廻転生なんて使うか?

そう思いながら窓の外の景色を見つめていた。


「…た、し…た………き」

微かに遠くから女性の声が聞こえる。

「すいません、遠くて聞こえないんで少し近づいてもらってもいいですか?」

「………です。×××さんが………って、………よ?」

くっそ、なんて言ってるか聞こえない。


「………きろ!…起きろ!」

なんだ?

「おい!夕次ゆうじ‼起きろ!!何寝てんだ!」

その一言で女性の声は消えていった。

待ってくれ!そう、何故か

「夕次ぃ、かったるい古典ってのは分かるが寝るこたぁねぇだろぉ?もし次あったら補習だからなぁ~ん?んだお前、悲しい夢でも見たのか?」

そう言われて顔に触れてみた。

濡れていた。明らかに目のところが濡れている。これは涙だ。

「まぁいいや、まぁとにかくな授業中に寝んな。んじゃ続きするぞ。」


学校が終わり、友人のしょう八喜多やきた駅のホームで帰りの電車を待っていた。

「おい、夕次どうしたんだよ、今日は授業中に寝るし、起きたと思ったら泣いてるし。」

「あぁ、なんか変な夢?見たんだよ。」

そして古典の時間に見た夢のことを話した。

「なんだそれ?変な夢。」

「だよな、しかもこんな夢だったか、ちゃんと覚えてねぇんだよな」

「まもなく8番線に列車が止まります。黄色い線の内側に入ってお待ちください。」

そんなことを話していると、電車が来そうだ。

ふと、俺は前を向くと

舞香まいか?」

俺は知らないうちに前のホームで電車を待っている彼女の名前を口にしていた。

彼女も俺に気づいた。

そうして俺は彼女に会いに走った。

刹那

走ってきた電車に気づかず、無惨にも赤く染まっていった。


「あと7回。それまでに彼女に思いを伝えるんだ。」

唯一、薄れゆく意識のの中その言葉だけが聞こえた。

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