幕間 強いあの子とこれからのあたし

「菫。」


「真祐美……見てた?」


「隠しても無駄よね、見てたわ。菫と津原が歩いてるの見かけて、気になっちゃって。」


あたしがそう言うと、やっと伏せてた顔を上げた菫。随分と泣かされたみたいね、こんな菫初めて見た。


「じゃあもう、分かってるんだよね。」


「ええ、あいつからも直接聞いたわ。」


「私、フラれちゃった。」


「あいつに見る目が無かったのよ!こーんな良い相手、早々見つからないってのに。」


と、嫌味ったらしく言ってみたけれど……違うわね。


「なんて、前のあたしなら言うのかしら。そうじゃなくて、菫にもあたしにも出来てないことが多すぎたって所かしら。」


「……やっぱ私もだよね。」


「本当はあたしが、で終わらせたいわ。でも津原はそう思ってないのを聞いたのよね。」


「うん。結構言われ……ううん。教えてくれた。」


色々思い返す。菫と付き合い出したぽっと出の男、何も知らないでへらへら笑ってご機嫌とり。そんな風にしか見てなかった日々。

あいつは頑張ってたんだと……思う。初対面なあたし達に向き合おうと、一緒に過ごしていこうって思ってくれていたのかしら。


「菫は、自分が何が足りなかったか分かった?」


「うん。私がこれまでしてこなかった事、津原くんにしてしまった事。正解なのか分からないけれど、このままじゃ駄目なのは分かる。」


「そう。」


いつの間にこんな顔をするように、と目の前の友達を見る。自分の駄目な所を理解して後悔して、そこから立ち上がって歩いていくんだわ。

あたしが知る菫は泣いて泣いて、いつまでも地面に座ってる。それであたしが助けると、ありがとうって笑ってたっけ。


「真祐美は……どう?」


「あたしなりに反省と後悔、さっき謝罪も済ませたわ。もう一件、片付けないとだけれど。」


「そっか。真祐美もさ、なんか良い顔してる。」


「良い顔?」


「うん。何て言うのかな、頑張るぞっ!て感じ。」


「何よそれ。」


ふっと笑うけれど、これからって事はあたしが一番分かってる。今の菫をしっかり理解して、過保護で周りに迷惑させてたあたしが変えられるのか。

今日まで津原と話して、菫と初めて喧嘩して、全く知らない津原の友達に諭されて。最初はただ怒ってばかり……今考えると恥ずかしいわね。


「それで?真祐美はこれから、どうしたい?」


「そうね。ひとまず疲れたから、帰りに甘いものが食べたいわ。」


「あーいいね!私行きたい場所あるから、一緒に行こう!」


「……菫は?」


「ん?」


「菫はこれからどうするの。」


そう言うとあの子は少しうつむいて、だけどすぐに顔を上げ笑顔で。


「とりあえず、津原くんとお友達になれたらな~って!」


「と、友達ぃ?」


「そう友達。それで一緒の時間が多くなって、私の事も津原くんの事もたくさん知り合えたらなって。難しいだろうけど。」


えへへと笑いながら、それでも諦めのないその横顔は素敵だった。


「あの男の何処が良いってのかしら。」


「真祐美も薄々分かってるんじゃない?」


「さあ。」


はぐらかして、そろそろ時間だと菫と歩き出すあたし。隣に立って改めて菫を見る。前より大きくなって、あたしがいなくても前に進んで。

目が覚めた、よりも目を背けてたんだと思う。菫が1人で平気ならあたしはいらない……そんな考えから。


「ほら真祐美!いそごっ!」


「ちょ、走ることないじゃない!」


でも杞憂って奴なのかしら。あたし達が友達である限り、いるいらないって話しにならない。そんな予感がするわ。

あたしも、少しは良くなれてるかしら。



~~~~~~~~~ハムです~~~~~~~~~~~


作者コメント的な部分です、興味なければ次の話を待ってください。


日頃応援やコメント。レビュー等々をいただけている事、誠感謝の一言につきます。しっかりとモチベーションにさせてもらってます。反応が薄くて申し訳ない。


気付けばこの作品二年経ちました()。何してたんでしょうね俺。もうすぐ10000PVとか★もそのうち100いけそうな、そんな勢いが出るとマッッッッタク思ってなかったです。(PV達成しました。)(星も100いけました。)


日々更新の度にチェックしてくれてる皆様、ならびに1から知ってくださった方々に感謝をしつつ、これからも週三回は更新できるよう努めたいと思います。





更新おせーよ・まだですか等のコメントも気にせずお書きください。今回再開したのも知り合いに、いい加減書け。と言われたのがきっかけでしたので ヘヘッ。

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