第6話 一難去って三難くらい来たけど。
クラスに戻ってきただけで視線を独り占め……やれやれ。俺ってば罪な男になったよな。だけども席に座らせてくれ?俺も人の子だからな。
「ねえ進」
余計な音はシャットアウト。さすがにイヤホンは付けられないから、心のシャッターを下ろすんだ。そうすればほら、何も聞こえない幸せな世界さ。
とまあ適当に流しながら放課後まで、後ろやらクラスの奴らからくる声かけは全てスルー。
「おい、このクラスに津原って奴は。」
「ああ、津原ならあっちに……あれ?」
嫌な会話が始まりそう。そんな予感を得てしまった俺はさっさと退散、部活にも入ってないのでこのまま
「おい津原!」
「ヒューヒュー。」
「口笛吹いてないでこっち見ろよ。」
「んだよ……誰なのそもそも?」
「俺の事は別にいい……それよりもだ!お前、橘さんをフッたてのは本当か。」
「そうだけどなんだよ?お前に関係あるのか?」
「もちろんあるさ!俺も橘さんに告白したかったが、お前がいたから諦めたんだ。それなのに……あんな素敵な女性をな」
「それは過去だろ?今の話をしろよ。」
「……へ?」
「もう終わった話ぶり返して何になるんだよ。たまたま俺の方が早く告って、早く終わっただけだろうが。それで今フリーな橘さんに告白すればいいだろ。」
「いや、そうではな」
「そうだろうがふざけるなよ。素敵な女性?お前が何を知ってるんだ。付き合えばいいだろ今から。2ヶ月の恋人期間なんて、すぐに上書きできるだろうよ。」
「……」
「話は終わりだよな?鬱陶しいんだよ、他人に引き留められたと思ったら元カノ話。悪いけどすげえつまらないからな。」
「お、俺は橘さんに相談されてだな。」
「なんて言われたんだよ。俺のとこに来て改心しろって説得を頼まれたのか?」
「違う!それはない……いや、似たような話かもな。俺以外にどう聞いたか分からんが、俺はこう聞かれたよ。私に悪いところはありますか?てな。」
「そうかよ。で?誰なんだよ。」
「もう会わないだろうが、まあ橘の部活の先輩だ。」
「となると……茶道部のか。先輩と知らず失礼な態度だと思いますが、俺の気持ちを察してください。」
「俺はお前をよく知らない。だが橘は見てきたつもりだ、短い時間だがな。だから悪い男にと思って来て、失礼を働いてしまった。俺も悪い。」
そう言って名前も知らない先輩は帰っていった……たくなんなんだよ。昼間のフラグってやつが今来てる、まあこれで終わ
「津原殿待たれよ!!」
あっ……
そうして俺は似た流れで三人の男を切って捨ててやった。まあ一緒だよ、ふざけるな帰れ。そうして疲れきった俺はようやく下駄箱へ着けたわけ。
「あーしんど。まあ終わったな。」
「……ねえ。」
「さぁてお家でご飯が待ってるぞー。」
「ちょっと津原!」
「……はぁ。厄日ってのは本当にあるもんだ。」
振り替えれば浅原。なんだこいつ……朝から顔見る事多いけど良いことねえんだよな。もう会いたくないんだがこいつ。
「何だよ。」
「いや……その……」
「言わないなら帰らせろ。俺は疲れてて、何もないなら家にいたいんだ。」
「あ、謝らせて!」
「あ?」
「あ、あの……ごめん!私がその……あんたと菫を邪魔してるなんて……その。」
「考えもつかなかったか?誰がどう見ても、なんなら今考えた本人もそうとしか思えなかったが。」
「あ、あたしは菫が心配で」
「なら遠くから見守るとかないのか?今後もそれ続けるのは任せるが、間違いなく橘の幸せはお前が壊すだろうよ。」
「な、何よ。」
「これからも男に口出すんだろ?よっっぽど根性あるなら良いけどよ、そんな男中々いないって事だけ伝えといてやるよ。で謝られたわけだし、俺は帰るからな。」
「ま、待ちなさ」
きっこえなーい!走って走って家まで爆走。なんだって一組の男女が別れただけでこんな、馬鹿みたいな騒ぎになるんだっての。さぁて愛しき我が家でのんびりするか!!
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