03

 普通に学校を終えて、普通に帰る。

 友達から男子生徒と遊ぶ誘いがあったので、最初だけそれに付き合った。友達の誘いは、断らずに必ず参加するのがルール。

 普通の人間なので、普通に生きていくしかなかった。これからも、きっと、こういう生活が続く。行きたくもないところに行って、誰かから馴れ馴れしくされて。

 送っていくと言い出した男子生徒を丁寧に断り倒して、ひとりで帰る。

 夕暮れ。

 彼は、学校を休んでいた。

 ずっと、毎日遅刻せずに来ていたのに。

 昨日。わたしに別れてくれって言ったときも。様子が、おかしかった。まるで、明日世界が滅んでしまうかのような、そんな、顔をしていた。

 その顔を見て。何もできなくて。ただ、別れの言葉に対して了承することしか、できなかった。

 彼に会いたい。

 そう、思った。

 彼は、わたしと馴れ馴れしくするような人間ではない。そういう関係では、ないけれど。また、はじめて抱きあったときのように。抱きしめてみたい。彼が望むなら。それ以上のことも。

 別れた相手に対して、思っていいことではなかった。

 きっと、彼には、彼の人生があって。わたしの人生には、彼は合わなかった。それだけ。

 いつも、彼と帰っていた道を。ひとりで、とぼとぼと、歩く。

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