第1部 人々が紡ぐ星々

序幕 再開の決意

 ――風が吹いている。静かなような、騒がしいような風が。




「……」


 再び、再び私はこの地に戻って来た。

 見覚えがあるようで、もう私の知っているそれとは大きく姿を変えたこの地に。


「……、……」


 今度こそ……今度こそだ。

 今度こそ成功してみせる。あの日、あの男に阻まれた夢を、今度こそ私は成し遂げてみせる。やり遂げて見せる。

 他でもない、私のこの強欲を満たす為に。


「……ッ」


 だからこそ、その為に今。

 ここで再びの、再来の、再開の決意を叫ぼう。もう一度、夢と欲に満ちた咆哮を上げるとしよう。


「―――、―――――」


 音はない。だが、それでいい。

 例え聞こえなくとも、見えなくとも――そうあった。ただ、それだけのことで良いのだから。ただ、心の奥で嫌になる程に残響を残し続ければいいのだから。


 ああ……そうだ。今度こそ――、




 ――今度こそ、私は私の強欲を叶えてみせる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る