第8話 初めての魔法授業
「みんな揃ってるなー? では授業を始めるぞ!」
若い男性教師が生徒達の前に立つと、右手に持っている教科書を開いた。
「私の授業は魔法と武器を用いた戦闘方法を学ぶことだ! この世界には危険が多くある! 例えば魔獣がいい例だろう。 人里に現れて襲われる事件は高い確率で起こっている!」
若い男性教師が説明をしていると、出雲は気合が入っている先生だと、隣にいる大和に話しかけていた。
「気合がある先生は好きだ! 色々教わりたいな!」
「そうだね! どんな授業なんだろ?」
二人が話していると若い男性教師が校舎内から様々な種類の武器を詰めている籠を運んできた。その籠を見た生徒達は声を上げていた。
「俺はどんな武器にしようかな!」
「私は遠距離にしようかしら?」
「近距離で魔法を使って活躍したいな!」
出雲と大和以外の生徒達は笑顔で周囲の人達と話し合っていた。出雲は隣にいる大和を見て、どんな武器を使うのか聞いていた。
「俺は大剣とかかな? 押し通す形で戦いたいから俺の属性と合わせていけるかなと」
「なるほど。 俺はどの武器にしようかなー」
出雲が顎に手を置いて考えていると、若い男性教師が好きな武器を選んでくれと言っていた。
「好きな武器かー……俺はやっぱり長剣かな?」
「出雲は長剣か! 似合ってると思うぞ!」
「ありがとう!」
出雲は籠の中に置かれていた長剣を握ると、その重さに驚いていた。
「武器ってここまで重いんだ!? 初めて持ったけどこれは筋トレをしないと振るのも辛い!」
出雲が長剣を両手で握り直していると、大和は大剣を片手で振り回していた。その大和の姿を見た出雲は目を見開いて驚いていた。
「大和凄くない!? なんでそんなに振り回せるの!?」
「武器を使う時に備えて体を鍛えていたからな! 出雲もこれからでもいいから体を鍛えるといいよ。 体力も増えて一石二鳥だよ」
「そうだよね! ありがとう!」
出雲が言葉を発すると、若い男性教師が武器が生徒に行き渡ったか聞いていた。
「みんな武器は選んだか? ならこれから授業を始めようと思う。 さて、みんなは武器を用いた戦闘って分かるか?」
若い男性教師がそう話すと、生徒達は武器と魔法の両方を用いて戦う戦法ですと言った。すると若い男性教師はそれも一つだなと言う。
「確かに武器と魔法を交互に使って戦う戦法もある。 だが、実践では一瞬の判断が命取りにあることが多いから、交互によりも両方を同時に用いて戦うことがいいとされている」
若い男性教師がそう話していると、大和が何度も頷いていた。出雲はそうなのかと大和に聞くと、武器と魔法を同時に使った方がいいよと教えてくれる。大和が話し終えると若い男性教師は続けて実践でのことや魔獣との戦いのことを話していた。
「君達が対人戦闘をするとは限らないが、魔獣やそれに準ずる魔物との戦闘をする際に、武器と魔法を同時に用いて戦う方法を学ぶのが一番だ」
「同時に用いて!? それはどうやってすればいいの!?」
「確か国に仕える魔法騎士団が使ってる方法じゃない? あの人達と同じような戦いが出来るようになるのね!」
「俺もあんな風に戦いたい!」
生徒達が言ってる魔法騎士団とは、国の守護を司り、魔物の侵攻や諸外国からもたらされる脅威から国を守る役割をしている独立した組織形態をしている騎士団である。
「魔法騎士団か……何度かテレビでしていた特集で見たことがある! 国にいる魔物の討伐や国に対する脅威を防いでいる国の要ともいえる組織だって!」
「確かにそうだな。 魔法騎士団はこの国で一番の強さを誇り国の防衛の要だ。 魔法騎士団の下部組織もあるが、そこに入る人達は誰しもが魔法騎士団を目指していたとされれるほどに人気の高い職種だな」
「そうなのか! そこまで人気が高いなんて思ってなかった!」
出雲が知らなかったと言うと、大和が結構有名な話だぞと教えてくれた。出雲は俺はそこを目指す分からないなと大和に返した。
「目指すのは自由だからな。 俺も目指さないと思うし」
「大和も目指さないんだ! 就きたい仕事とかあるの?」
「まだ分からないけど、漠然とは考えているかな」
出雲と大和が話していると、若い男性教師が実践して学んでいこうと言っていた。
「属性魔法使えないんだけど……どうやってすれば……」
出雲が悩んでいると、若い男性教師が近寄って来る。
「黒羽出雲君ですね? 御手洗龍雅先生からこの本を渡してと言われました。 この本に書かれていることがあなたなら読めるだろうと伝えてくれと言われました」
「俺がですか? 御手洗先生が俺にこの今にも崩れそうな古い本を?」
出雲は手渡された古いページ数の多い、教科書と同じサイズの本を受け取った。
「この古い本で何が出来るんだ?」
出雲が古い本のページを捲っていくと、そこには何も書かれていなかった。最後までページを捲るも、全て何も書かれていないページしかなかった。
「その本を出雲に渡して何をしたかったんだろうな? 魔法書ってわけでもなさそうだし、何の意味があったんだ?」
「分からないけど、先生が何か知っていることは確かみたいだ」
二人が話し合っていると、若い男性教師が校庭の中心に移動をして右手に握っている長剣に左手を添えていた。
「この技術は魔物と戦うことにおいて基礎となる魔法となる。 武器に自身の属性を付与して戦う魔法だ。 その技名は魔法付与という」
魔法付与。書き起こすと簡単に思えるが、武器に自身の魔力を定着させて様々な魔法を放つ技術である。定着させることや定着させたまま違う魔法を放つことは大変難しいとされている。
「この魔法は大変難しいとされているが、これさえ習得出来れば君達は必ず強くなれる」
「初っ端から難しそうな魔法だ……俺達に出来るのかな……」
「魔力を武器に付与をするなんて聞いたことがないよ」
複数の生徒達が文句を言っていると、美桜が教えてくださいと若い男性教師に近寄って聞いていた。その美桜の姿を見ていた生徒達も詰め寄って教えてくださいと言い始めていた。
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