第12話

日陽 side



「え?や……あのね……お手洗いに行きたいのよ(苦笑)」

と小声で言うと

「ふっ、了解。日陽がお手洗い入って来るの待ってる。」

と蓮は言ってくれた。お手洗いを出ると……

「あ、おかえり。コンビニであったかいの買っといたよ。コレで温めなよ。」

と蓮は渡してくれた。

「じゃ、行こっか?」

「え?」

「あ……2shotsはさ、急ぎじゃないでしょ?今度良いシチュエーションで撮ろうよ♪」

「え?あ、うん。」

「あ、"さっきの"俺にも送って。俺も家族に見せるの。」

「え?」

「俺もさ、『こんな子と付き合ってる』って報告したいじゃん?」

あ、甘々ですよ!この人!

「あ、2枚ともね。」

え?

「……"決定的瞬間"のも?」

「ああ。」

え?

「……わかった。あとで送る……」

「出来れば、今が良いかな?」

"S"ですよ、この人!

「う、うん。」

携帯を操作して、LINEアプリを開く。そこから、"月本蓮"を選び……写真を2枚送る。

「ふっ、さんきゅ♡ あとで、確認しとくな。じゃあ、行こっか?」

左手に杖をつき、右手は彼と握る。

「れーん……」

そう言うと

「ん?」

私の顔を覗き込む。

「あのね……"今朝"以来だね、送ってもらうの。」

「え?あー、うん。なんか照れるな(苦笑)」

え?

「や……日陽に、って言うより……お母様にお会いするのが気まずいわ(苦笑)」

え?

「今朝はさー、昨日の晩に日陽が泊まったの送ってったから……もう明らかだろ?(苦笑) それに続いての今だゼ?気まずすぎるだろ(苦笑)」

「あー、朝は起きてなかった真生も出てくるかもだしぃ、"品定め"が始まるよぉ(笑) 品評会"だよ(笑)」

そう冷やかすと……

「ふっ、それはさ……日陽も恥ずかしいヤツだよ?姉が"見る目"あるか見られるヤツ(笑)」

と返され、"返り討ち"に遭ってしまった(苦笑)



蓮 side



「……お父様は?」

「ん、あー……たぶん寝てる(苦笑) それか、呑んだくれてる(苦笑) 」

え?

「父はねぇ、"筋トレ"が趣味で"朝ラン"もしてるのよ(苦笑)だからね、寝るのは早いの(苦笑) でもねー、まだ23:00でしょ?微妙だわー(苦笑) だから、蓮……"覚悟"しといてね。」

え?



「ただいまー。」

日陽を送り届けると

「おかえりー。」

とお母様が出迎えてくれた。

「あら、どうも。」

俺にペコっと頭を下げると

「"ひな"、こんな時間までどーしたの?」

と彼女に聞いた。

「仕事終わりにね、彼と莉花たちとちょっと呑んでたの。」 

「あ、莉花ちゃん……彼女、元気にしてる?」

「うんっ、元気元気♪あ……ちょっと待ってね。」

日陽はさっそく先程撮った莉花さんとの3shotsを見せた。

「あら、ホントだ。元気そうね。」

「うん。あ、コレね……撮ってくれたのが莉花の彼なの。年下だけど、とても優しいのよ。」

"条件クリア"♪(笑)

「年下?……おいくつなのかしら?」

「ん、33。斗真と同い年。マジで若いよねぇ。」

日陽とお母様がそう話していると……

「お母さーん……あ、お姉ちゃん、おかえり。」

"小姑"の登場です。妹ちゃんも来た。

「ただいまー。」

「あ、どうも。」

真生ちゃんはペコッと俺に頭を下げると

「ねぇ、上がっていただいたら?」

と言った。

「え?や、もう遅い時間ですし(苦笑)」

そう言って、遠慮すると……

「え?や、両親も私も明日はお休みですし……もしだったら、泊まって行ってください。父も『挨拶したい』って、言ってましたし。」

と真生ちゃんに強引に誘われてしまった(苦笑)

「それも、そうね。客間に布団用意しましょうか?それとも……"ひな"の部屋かしら?(笑)」

とお母様……

「や、ご挨拶だけでもさせてください。」

「えーっ……泊まって行かれても、良いんですよ?」

再度強引に誘われる可哀想な俺(笑) 真生ちゃんはこうなるコトを予想していたのかもしれない……



「ん……頭、痛っ。」

翌日起きると目の前には知らない天井が広がっていた。そこは日陽の家の"客間"らしく、襖を開けると……お母様が朝ごはんを作っていた。

「おはようございます。泊まるつもりなんてなかったんですが(苦笑)」

「ふふふっ、良いのよ。あの人が呑ませすぎちゃったみたいね(苦笑) あの人もまだ寝てるわ。今日は日課の"朝ラン"もおやすみね(苦笑) あ、顔洗って来たら?」

「あ、はい……」

「出たところに"洗面所"と"お手洗い"が並んでるわよ。」

お母様にそう言われて、廊下へと出る。洗面所へ行くと……

「あ……おはよ、蓮。起きたのね。」

そこには日陽が居た。

「あ……おはよ、日陽。」

「私はね、今からメイクして……朝ごはん食べてから、仕事行くわ。」

「あ、じゃあ……駅まで一緒行こ?俺もお暇するわ。」

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