第11話

蓮 side



あー、寂れてないとはいえ……平日じゃないから、人も"疎ら"だし(苦笑)

「あ、俺が撮りますよ?」

と小林が言った。

「へ?いいの?」

「はい。"ひなたん"の話聞いた限り、先輩以外は必要じゃないみたいですし……莉花は"ひなたん"の同期だから、一応必要だし。その代わり、『撮ってくれたヒトが莉花の彼氏なの。』って、言っておいてくださいね(笑)」

ふっ、なんだよ?その"交換条件"(笑)

「了解♪『撮ってくれたヒトが莉花の彼氏なの。とても優しいのよ。』って言っとくね。」

交渉は成立して、小林が写真を撮ってくれるコトになった。ホームのベンチに移動して、日陽を真ん中に3人で座る。

「撮りますよ。……はい、チーズ。」

日陽は小林から携帯を受け取った。

「あ、ありがとう。」

「ねぇ、"ひな"?」

「んー?莉花、どうしたの?」

「私にもさっきの写真、送って。私も弟たちに見せるの。」

「え?あ、夏生くんは写ってないけど……いーの?」

「いーのいーの。」

え?

「むしろ、蓮くん……切りたいくらいだよ(苦笑)」

えーっ……

「つまりね、"ひな"が必要なの。ウチの弟たちね、"ひな"のFANなのよ。」

「もー……」

「あの"ひな"が『元気にしてる』って知ったら、喜ぶだろうなぁ。」

「弟さんたちも心配してくれてたんすね……」

ちょっぴりしんみりしてしまう。

「それにしたって、蓮の扱い酷すぎっ。」

そう言って、日陽が怒ると

「ふっ、いいっすよ。俺なんて、写ってもないっすよ。」

と小林がしょんぼりしている。

「もー、夏生……ごめんって。」

「あ、夏生くん……莉花との2shots撮ろうか?」

日陽の"フォロー力"凄い✨ この子を好きになって良かったな☆と改めて思う。

「あ、いっすか?すみません……じゃあ、お願いしますっ。」

俺と日陽が場所を移動して、日陽の席に小林が座る。

「あ、蓮っ。杖、持ってて。両手空いてないと携帯構えられなくて(苦笑)」

「ああ。」

と言って、日陽から杖を預かる。

「夏生くんと莉花……撮るよー。」

小林と莉花さんはくっついて、写真に写っている。この2人、意外とお似合いじゃん。俺たちも似合っているのかな?隣に立っている日陽を見る。

「ん?蓮、どうしたの?」

「や、小林と莉花さん……お似合いだなぁ♡と思って。俺らも似合ってんのかな?と思ってさ。」

「もー、似合ってるよ?たぶん……(苦笑)」

え?たぶん?

「あ、"ひな"たちも写る?私、撮るよー。」

と莉花さんは言ってくれた。

「え?あ、いーの?莉花たちが乗る電車、もう来てるよ?」

「いーのいーの。私たちは次で……わっ、"ひな"たちが乗る電車ももうすぐ来ちゃうね。はい、交代。」

莉花さんにそう言われて、莉花さんたちと場所を変わる。……と急いでいたので、日陽はよろけてしまった。急いで、彼女を支える……

「あ、"ひな"たちの乗る電車来た。写真は撮っといたよ?"らしいの"撮れたから、確認しといてね。」

そう言って、莉花さんは日陽に携帯を渡してくれた。

「え?あ、ありがとう、莉花。あ、夏生くんの携帯……持ったままだった(苦笑) 返すの遅くなって、ごめんね。」

「あ、いや。ありがとうございます。」

「一応確認して。もし目ぇ瞑ってたりしたら、ごめん。」

「え?あ……」

小林はそう言って、急いで確認した。

「ふっ、大丈夫でした。莉花が"実物"よりも可愛く写ってます(笑)」

「え?あ、そうなの?」

莉花さんはそう言って、覗き込むと

「もぉー、なんだー。そんなコトないじゃん。普段通りでしょ?」

と言って、小林をバシバシ叩いている。

「あ、電車来たね。"ひな"、また明日。蓮くん、"ひな"のコト……よろしくね。」

「はい、了解です。」

そこで、小林と莉花さんとは別れた。



日陽 side



蓮と電車に乗って、席に座ると

「なぁ、日陽?」

蓮が声を掛けて来た。

「んー?」

「さっきさ、莉花さんが撮ってくれた写真ってある?」

「あ、うん。私も見てないんだよねぇ。私たちがスタンバイするまえに撮り終わってたから……私もどんなか知らないの(苦笑)」

そう言って、一緒に見ると……

「え?あ、何コレ?」

私がよろけて、蓮が支えてくれたトキの写真だった(苦笑) 確かに"らしい"は"らしい"けど……

「ふっ、"決定的瞬間"だよな(笑) もはや"説明不要"じゃん(笑)」

「まぁ、そうだけどね(笑) どーせなら、もっと可愛く撮ってよぉ。」

そう言って、"苦笑い"すると

「……2shotsなら"自撮り"でも撮れるけど?」

と言われた。あ……

「……電車降りたら、2shots撮ろ?」

そう言うと

「ふっ、ああ。撮ろっか?」

と蓮は言ってくれた。私の家の最寄り駅に着くと……

「んー……どうしようか?2shots撮るのホームのベンチとかでいーかな?それとも……近くのカフェでも入る?」

と蓮は言った。え?

「私の家、すぐそこだけど?」

「や……でもさ、日陽の手、冷たくなってるよ?寒いんでしょ?」

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