第3話
蓮 side
「私は"子ども"に好かれるタイプじゃないんで、あまり乗り気ではないんですけどね……チーフに勧められて、仕方なく(苦笑)」
あー、確かに……(え?) 日陽さんは可愛い系で、莉花さんはキレイ系だもんなぁ。
「もうっ!そんなコトないって!まぁ……確かに莉花は"オジさまキラー"だけどさー。」
え?
「蓮さんっ、聞いてくださいよぉ。」
日陽さんにそう言われたので、
「なんですか?」
と聞く。
「莉花、一瞬他館に異動してたんですけど……そこでオジさまに付き纏われて、出戻ってきたんです(苦笑) 私が休職しているあいだに……」
「あー、そうなんですね。それは大変でしたね(苦笑)」
「ま、まぁ……"ひな"だってさー、"付き纏い"まで行かなくても、おウチの近くで休みの日におっさんに声掛けられたコトあったんでしょ?」
え?
「あ、ウチ……職場とはわりと離れてて……ココの2駅先かな?っで、お休みの日は出歩いていたんですけど……そんときに声掛けられちゃって(苦笑)」
あー、声掛けやすいのかな?(まんまと声掛けてるヒト。笑)
「事故に遭った日もお休みの日で、自転車でスーパーに買い物しに行ってたんだよね……」
「うん……ウチでお鍋する予定だったのに母が豆腐を買い忘れてて、妹が断ってたんで……私が代わりに行ったら『ドンっ』ってはねられて(苦笑)」
ん?どっかで聞いた話?(cf.[35歳の少女])
「25年間も意識不明で……」
「え?」
「……とゆうのはドラマの話なんですけど(笑) あ、スーパーに行こうとしてたのは本当です(笑) 2週間くらいは意識不明だったのかなぁ?」
と彼女は笑って言った。
「そのあと意識はあっても、記憶がないって状態が2ヶ月くらいは続いてて……」
「私がお見舞いに行ったトキは?」
「あ、たぶんはじめに来てくれたトキは覚えてないし……その状態だったんだけど、そのあとは大丈夫。莉花、同期だし、いちばんの仲良し……あ、私が勝手に思ってるだけかな?なんですけど、他のヒトに譲っちゃってて、なかなか来てくれなかったんですよー。」
「あ、"ひな"は人気者なんで、"1週間に1組"って決まってて……私たちは"中堅"なんで、後輩にも先輩にも譲らなきゃで……大変(苦笑)」
「私、そんなコト知らなかったから……莉花が来てくれなくて、寂しかった。」
日陽さんはそう言って、落ち込んでいる。
「それにね、私……"人気者"じゃないよ?ただ"人懐っこい"顔してるだけ(笑) "くまモン"みたいな感じかなぁ?」
日陽さんはそう言って、笑った。え?"くまモン"?(笑)
「"くまモン"って(笑) あ、月本さん……引き留めちゃって、すみません。飲み終わったら、出ましょうか?」
「あ、そうですね。楽しい休日を過ごせて良かったです。」
「これからも"ひな"のコト、よろしくお願いします。仲良くしてあげてくださいね。」
莉花さんがそう言うと
「……"保護者"か!」
と日陽さんはツッコんだ。
「はい、こちらこそ……よろしくお願いします。じゃあ、出ましょうか?」
「はい、会計しちゃいましょ♪」
3人でレジへ向かった。これからショップのほうを見るという日陽さんと莉花さんと別れて、帰宅した。
月曜日の朝……
「蓮さん、今日もありがとうございました。」
「あ、いえ。では、お互い仕事頑張りましょうね♪」
そう言って、改札を出たところで日陽さんと別れる。
「先輩っ、ちーっす。今日は何やら親しげでしたね。」
「おぅ、小林。おはよう。彼女とはな、このまえの金曜日、偶然会って……お茶したんだ。彼女の同僚も混じえて。」
「へぇー、そうなんすね。」
「あ、彼女……"交通事故"に遭ったみたいだゼ。おでこに傷あるって。左腕に杖ついてるってコトは"右半身不随"?」
「ん?その症状……"高次脳機能障害"っすかね?」
日陽 side
「あ、そうです。小林さん、よくわかりましたね。」
今日は私と莉花、そして……蓮さんと蓮さんの後輩だと言う小林さんも一緒に職場の近くに夜ごはんを食べに来た。
「小林さんって……いっすよ。"夏生"で。あ、"夏に生きる"で"夏生"っす。僕のほうが年下みたいなんで……」
「あ、じゃあ……夏生さん。夏生さん、詳しいですね。」
「詳しいって言うか、俺のじいちゃん……あ、母方の祖父が20年くらい前に"脳梗塞"になって、日陽さんと同じく"右半身不随"なんです。そんときは"高次脳機能障害"なんて"ハイカラ"な名前なかったんすけど……このまえなんか調べてたら、"脳卒中"と"脳外傷"の後遺症(?)で"高次脳機能障害"になるって書いてあって。"脳梗塞"って、"脳卒中"の1つなんですよね?」
「あ、うん。"脳梗塞"と"脳内出血"と"くも膜下出血"が"脳卒中"の1つって、休職してたトキに通ってた施設で聞きました。"くも膜下出血"って言ったら、私の好きな星野源さんも過去に経験されているから、後遺症もないなんて幸運だなぁと思って。」
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