第2話

日陽 side



「んー……正直気になってはいる。とてもスマートに譲ってくれたのよ。」

嬉しかったので、そう話すと……

「ふーん……今度のお休みに詳しく聞くからね!」

と莉花から言われてしまった。え?詳しく?そう……今度のお休みは2人重なっているので、先日公開された[罪の声]を一緒に観に行くのです。私は密かに星野源さんのFANなので、とても楽しみにしていて♡ LINEの"ステメ"には『10月30日[罪の声]公開 星野源,小栗旬』と書いているし、LINE BGMは映画の主題歌になっているUruの[振り子]だし……誰だよ?って感じで(笑) あ……そのLINEを月本さんと交換しちゃったんだよなぁ(苦笑) 気まずい思いを抱えながら、お休みまでの数日間を過ごしたのでした。



蓮 side



んー……今日は休み。"有給"の消化のために平日の金曜日に休みで……普段から暦通りの休みなので今日から3連休✌️ どう過ごすか考えた結果……今日は日陽さんオススメの[罪の声]を観に行くコトにしたのでした。近くの映画館に着いて、グッズ売り場を見ていると……

「痛っ。」

同じくグッズ売り場を見ていたヒトとぶつかってしまって(苦笑)

「あ、すみません……って、え?日陽さん?」

そこにはあの彼女が居た。

「あ、月本さん。今日はお休みですか?」

「はい、上司に"有給"の消化をするように煩く言われて(苦笑) 日陽さんは?」

「私は……普通にお休みで。職場の同僚と映画を観に来たんです。」

日陽さんにそう言われたので、

「もしかして……[罪の声]ですか?」

と聞いた。

「はい……」

「俺もです。日陽さんがオススメされていたので(苦笑)」

「え?やだ、そんな……」

彼女はそう言って、照れている。日陽さんと話していると

「ひーな……どうしたの?」

と日陽さんの同僚のかたが声を掛けて来た。

「あ、莉花。こちら、月本蓮さん。このまえ電車で席を譲っていただいたのよ。月本さん、私の同僚の佐山莉花(さやまりか)。"ジャスミン"の漢字の2,3文字めで"莉花"です。」

「あ、どうも。」

そう言って、頭を下げると……莉花さんもペコッと頭を下げてから、

「あ、貴方が!先日は"ひな"がお世話になりました。『スマートに譲っていただいた』とかで、彼女……とても喜んでいました。」

と言った。

「月本さんね、[罪の声]を観にいらしたんですって。」

「え?あ、もうチケット買いました?」

「いえ、これからです。」

「そうなんですね。"券売機"に一緒に行きますか?」

「はい、どちらの席か教えてもらっても良いですか?」

3人で、"券売機"に移動した。



日陽 side



「月本さんっ。」

映画終了後、莉花が声を掛けている。

「あの……これから、お時間ありますか?」

「あ、はい。」

「じゃあ、これから3人でお茶でもしませんか?」

え?

「もうっ、莉花……図々しいよ(苦笑)」

「"ひな"……良いでしょ?こんな機会、滅多にないんだから。」

そう言われて、3人でカフェに移動した。席に座って、注文を済ませた後……

「月本さん、お誘いしてしまって……すみません。」

と莉花が謝っている。

「いえ、暇していたので……大丈夫です。」

「"ひな"、こうなってから……"恋愛"に臆病になっていて。」

「え?違うよー。ただモテないだけ(笑)」

「そんなコトないでしょ?可愛いんだから。」

え?

「可愛くないってばー。」

「もうっ、そんなコトないよー。"小動物"みたいで、可愛いよ!ねっ、月本さん?」

え?それ聞くの?

「あ、はい。とても魅力的なかただと思います。」

「そんなコトないです(苦笑) 今は見えてないですけど、ココにこんな傷があって……」

そう言って、前髪を上げる。そう……私の顔には頭に目尻くらいまでの傷があるのです。

「私、2年くらい前にこうなったんです。"交通事故"で……」

「結構大きな事故だったんだよね?」

「うん、そうみたい(苦笑) それで……ずっと"休職"していたんですけど、この春に"復職"して。莉花とか……職場のヒトたちの"協力"のおかげで、なんとかやってこられてます♪」

こんなコト聞かされても、"迷惑"だろうけど……笑顔でそう言った。



蓮 side



「"ひな"、事故に遭うまでは結構バリバリ働いてたよね。"担当業務"が4つもあって……」

え?"担当業務"?

「"担当業務"?」

思わず、そう呟くと……

「あ、蓮さん……"図書館"って、あんま馴染みないですか?」

日陽さんにそう聞かれた。ん?蓮さん?直った?

「あ、はい……学生時代に行った以来ですかね?(苦笑)」

「ウチの図書館は結構大きくて、1F,2F,こども図書館のフロアがあって、1Fと2Fはスタッフ全員がやるんですけど、こども図書館とBY……あ、今やってる"裏方"です。その2つは"少数精鋭"でやっているんです。私、その2つもやっていて……全部で4つやっていたんです。」

「へぇー、そうなんですね。」

「"少数精鋭"のうちの1つを莉花が引き継いでくれて……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る