第8話

おばあさんの顔はなんだか不気味で

動くことができなかった。


こちらをじっと見つめるおばあさん。

目が吊り目でこちらを睨んでいるよう。

おばあさんがゆっくり口を開いた。


「本当にこっちで良かったのかい?」


俺は答えた。


「合っているはずだ。」


「そうかい、、」


おばあさんはゆっくり左側に視線をやった。

一つの扉がある。

俺たちはその扉の方へ進んだ。

扉を前にした時おばあさんが、


「わたしの息子がちょうどあんたたちと

 同じくらいの年齢だよ。

 生きていた時はね。」


そんな言葉をかけられ振り向いた。

さっきまで居たはずのおばあさんの

姿がなくなっていた。


「あれ?どこいったんだ?」


「なんだったんだ?今の。」


しばらく辺りをキョロキョロしたがいない。

戻ってくる気配もなさそうだ。


「おい、省吾。開けるぞ?」


「あ?あぁ。」


扉を開けると白い鋭い光に包まれた。

俺たちはそのまま意識を失った。




目が覚めると自分の部屋だ。

ベッドで眠っていたようだ。

夢、、だったのか?

俺は賢二に電話した。


「あ!賢二か!」


「なんだよ、こんな朝早くに。」


「お前今どこにいる?」


「は?家にいるけど、寝てたっつーの。」


「夜中に本屋に行っただろ!

 お前なにもないか?無事か?」


「は?本屋?なんの話だよ。

 わけわかんねぇ。

 バイト行ってクタクタなんだよ。」


「は?

 俺と夜中に本屋行ったじゃねぇか!」


「お前夢でも見てたんじゃねぇの?

 あーもーまだ五時じゃねぇか。

 俺はもう一回寝るから、じゃあな。」


ブッ。ツーツーツー。


どういうことだ?

俺は確かに賢二と本屋に行ったはずだ。

夢、、だったってことか?

あんなリアルな夢を?

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