第6話

慎重に辺りを見渡しながら進む。

薄暗い店内は徐々に冷たい風が入り

肌寒くなってきた。

風が通ってるのか。

出口が近いってことか?


店の外観的にそんなに大きなところでは

なさそうだった、入ってみると広く感じる。

天井までびっしりと本棚があり

周りが見えないのに何故広く感じるんだ。

先が見えないからか。


「ここ、やけに長いな。」


たしかに、今まで通ってきた道に比べたら

長い気がする。


どこかにヒントはないか探しながら進んで

頭も使うし、ずっと薄暗い店内で

何が起こるのか分からない恐怖と緊張感で

体力的にも疲労が出てきているんだろう。

俺も賢二も口数が減った。


一体今どのくらい進んだのか。

外は何時頃だろう。

本当に出口はあるのか。


「賢二、あそこ!

 少し光が漏れてねぇか?」


「え?ほんとだ!てことは、出口か?

 やっと外に出れんのか?」


「、、、、いや、待てよ。

 簡単すぎねぇか?

 入ったら出れないんだろ?

 何かあるかもしれない。」


緊張と恐怖で喉がカラカラだ。

飲み込むほどの唾も出ない。

それでも汗はでる。

二人はしばらく立ち止まり

少し薄く漏れる光の先をみつめた。


まだ二つ。分かれ道を選択しただけだ。

そんな簡単に出れるならもっと

色んな噂が上がっていてもいいのでは?

あの光が漏れる先になにがある?


賢二がゆっくり光のあるところへ進む。


「扉だ。扉があるぞ!出口か?

 おい、省吾!

 こっから出れるかもしれねぇ!」


「おい!待てよ!こんな簡単なものか?

 おかしくないか?罠かもしれねぇ。」


ドアノブを持ったまま賢二は止まった。

二人の間に重い空気が流れた。


「あ、、開けるぞ?」


「あぁ。」


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