第4話

恐る恐る一歩ずつゆっくり進む。

天井まである本棚で隣は見えない。

店内は薄暗く本のタイトルも顔を

近づけないとわからないほど。


しばらく歩くと左に曲がり道がある。

このまま直進か?左に行くべきか?

どちらが正解なんだ?

なにも起こらないってことは、

今進んだ道は正解だったのか?

わからない。

不安と恐怖で心臓がドクドク言っている。


「左か?真っ直ぐか?どっちだ?

 なにをヒントに進めばいいんだよ!」


「賢二落ち着けって。」


「次はどっちも床に汚れとかねぇし、

 ヒントになるようなものなんて

 どうやって探せばいいんだよ!」


返す言葉がなかった。

俺は頭をかきむしった。

特に勉強が出来て頭がいい訳でもない。

成績もなんとか足りて進級できている

くらいだ。


「二人で探せば何かあるはずだよ。

 な、落ち着いて本にヒントがないか

 調べてみようぜ?」


「そうだけどさ、問題がないものに

 答えなんて探し出せんのか?」


とりあえず調べよう。と俺は本棚をみた。

どれも聞いたことがない、見たことがない。

本の状態からして古いというのはわかる。

ここからヒントを探すなんで難しすぎる。

なにか、なにかあるはずだ。

この出口にたどり着く頃にはこの本屋の

謎もわかるかもしれない。

俺は左の棚、賢二は右の棚を調べた。


「省吾!これ見ろよ。

 この本だけ古本って感じしないか?

 何度も何度もページをめくった感じ。

 他の本はページとページに隙間なく

 まだ新しい感じがあるだろう。

 この本にヒントがあるんじゃねぇか?」


二人でこの本を隅から隅まで読んだ。

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