第2話

俺たちは土曜の夜に本屋へ向かった。

店の外観は古く営業しているようには

見えない。不気味といえば不気味だ。


「なぁ、まじでいくのか?」


「なんだよ、省吾。やっぱお前

 びびってんじゃねぇか。」


「だからびびってねぇし。

 これだって開いてるように見えないぜ。」


「扉が開いてるか確認して

開いていたら入ろう。

 開いてなかったら帰る。

 それでいいだろう?」


「わかったよ。」


そう言われ渋々承諾した。

賢二がドアノブをゆっくりと回した。


「おい、開いてるぞ。

 やっぱりあの噂は本当だったんだって。」


「勝手に入っていいのか?」


「すみませーん。誰かいませんか?」


少し開けた扉から声をかけるも返答なし。


「省吾、入るぞ。」


「あぁ。」


俺は唾をごくりと飲んだ。

薄暗い店内には沢山の本棚があり

ぎっしりと本が並んでいた。

その本棚は天井までびっしりとあり

隣が見えない。

上は踏み台がないと届かない程の高さだ。


「省吾ここさ、なんか迷路みたいじゃね?

ほら、道が二手に分かれててさ。」


「入ったら帰れない、ってことは

 道を間違えると何かあるってことか。」


二手に分かれている道を間違えるとなにが。

帰れなくなるとはどういうことなのか。


「どっちが正解とかあるのかこれ。」


「迷路だったら間違ってたら戻れば

 いいだけの話だろう?

 とりあえずこっちいこうぜ。」


右側に進もうとする賢二の手を俺は掴んだ。


「待て。本当に戻れるのか?

 入ったら出て来れないんだろう?

 慎重に選ぶべきじゃねぇのか?」


何かヒントがあるはずだ。

びっしりと並んだ本や壁、

そして謎に汚れきった地面。

クイズとかそういうのは得意じゃない。

でも安易に進むのは危険すぎる。

俺たちは慎重に調べながら進むことにした。

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