真夜中の本屋
ゆち
第1話
俺は田舎に住むごく普通の平凡な大学生。
大学近くの小さな安いアパートで
一人暮らしをしている。
今年三年となり、将来のこと、就職のこと、色々と考えないといけないが、
やりたいことなどない。
夢?希望?なんだそれって感じ。
毎日学校とバイトの往復しかしていない。
「あ〜、つまんねぇ。暇だな。」
俺がぽつりと呟くと同じ学部の賢二が
「なぁ、省吾。知ってるか?
夜中の二時に開く本屋があるらしいぜ。」
「夜中の二時?そんな時間に開けても
客なんかこねーだろ。」
「それがさ、ホラースポットとして
話題で興味本位で行く奴がいるらしいぜ。
一度入ると帰れないって噂だ。」
「帰れない?」
「ネットでさ、友人二人がその本屋に
行ったっきり行方不明って話だぜ。」
「へぇ、何か事件とか事故に巻き込まれた
とかじゃねぇの?」
「そのネットに載せてるやつが
本屋の前までは一緒に行ったらしい。
本屋を前に怖くて行かなかったって。
何時間待っても二人は戻って
こなかったって話だぜ。」
「それ本当か?
どうせネットで話題を呼びたい奴の
妄想とかじゃねぇの。」
「はぁ、お前は面白くねぇな。
だったらさ、
俺らで行って確かめてみないか?」
「やだよ、めんどくせぇ。」
「さてはお前、怖いんだな!」
賢二がケラケラと笑った。
「そんなことねぇし!」
と俺は答えた。
図星だな。と言う顔で俺を見て
笑い続ける賢二。
俺は視線を外した。
怖くないと言えば嘘になる。
人間見栄を張るってこういうことだな。
俺は断れず、次の休みの日に
その本屋に行くことになった。
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