第9話 反省文
「なんで嘘ついたの?」
と僕は目の前に座る女の子に問いかけた。
「それは花園さんもでしょ。なんで嘘をついたの?」
その子は反省文を書きながら答えた。
「いや……、それは……」
僕は言葉に詰まる。
正直僕は真城さんが一人怒られていることが、許せなかったからとは言えないし。
「それは、真城さんと仲良くなりたいと思ったからなんだ」
本当の理由ではないにしろ、僕は決して嘘はついているわけではない。
だけどそれを聞いた真城さんはクスクスと笑い始めた。
「なんで、笑うのさ。」
「あ、ごめんね。こんなに真正面から言われたの初めてだったから。」
と真城さんは笑いながら答えた。
僕はその笑う顔を見て安心した。
今回はあまり緊張していないので普通に話せているだろうし。
僕はここで自分が疑問に思っていることを聞くことにした。
「やっぱり、聞かせてほしいんだ。真城さんはあの三人からいじめられてるの?」
僕は言葉を濁さず、伝えた。
真城さんはそれを聞いて動きを止めた。
深く聞きすぎたのかもしれない。
でも、これは真城さんの口から聞いておかなければならないと思ったから聞いた。
今僕が真城さんに嫌われようが、僕は聞いておく必要がある。
すると、真城さんは少し悲しそうな顔をしているが笑っていた。
それは、悲しい笑いだった。
そして、真城さんが口を開いた。
「まさか、真正面からそんなことを聞いてくる人がいるとは思わなかったわ。」
真城さんは話を続ける。
「自分ではあれだったけど、他人から見たらそう見えるのかな。そんなこと言われたの初めてだったから自分ではわからないの」
「そうなんだ……」
これ以上は聞けないかもしれない。
いじめというのは、自分がいじめられているということを認めたくない。
しかしそのせいで誰にも言えない。
だから、いじめはタチが悪い。
「真城さんもうこの話はやめにしよう。あんまり暗い話は得意ではないから。それより……」
僕たちはそれからいろんな話をした。
そして今日という日が終わっていった。
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