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眠らない事を選択したが、特にやる事もない。朝のニュース番組をダラダラと見ながら、冷蔵庫に入っていたプリンを口へ運ぶ。
「今日の天気は、晴れ。お洗濯日和になりそうです。」
天気予報を聞きながら、窓の外へ視点を移した。
「あー、洗濯物ね。」
五日分ほど洗濯物が溜まっているが、その量を干しきれるスペースがあるとも思えない。
「多少重なってても乾くでしょ。」
早速、洗濯機を回そうとしたが五日分も入り切るわけが無い。仕方が無いと諦め、二回に分けて洗濯を始める。
「今日の星座占い!」
先程の番組を継続して観ていると、朝の占いコーナーが始まった。
「魚座のアナタは、本日6位!」
微妙な順位に、喜ぶべきか落ち込むべきか迷う。
「今日は機嫌が悪い日になりそう!落ち着いて、物事を冷静に判断してね!」
前言撤回。迷わず舌打ちが出る。
「つうか、朝の男のせいだろ。」
悔しくも占いは大当たりだった。
隣の部屋に住んでいる男。表札に記載されている名字すら確認したことがない。朝方にベランダで煙草を吸っていると、現れる。メンソールのキツい匂いを運んでくるあの男は、日常の害悪だ。
「ああ、最悪。」
ついつい煙草へ手が伸びる。今日はまだ二本目だから大丈夫と、自分に言い聞かせた。ベランダへ向かいながら、煙草に火を付ける。
眩しい朝日に目を細めながら、12タールを肺へ、身体へと注いだ。
「ああ、生き返る。」
「そうやって独り言を言うから、俺に話しかけられるんだよ。」
「独り言だと分かっているなら、話に入って来ないでもらえます?」
「ほーん、敬語使えたんだな。」
「貴方と話すことなんか無いから。」
「はいはい。まあ、煙草は程々にな。お前未成年だろ。」
思わぬ発言に咳き込む。
「は…?」
「ハハッ…動揺すんなよ。かまかけただけだって、馬鹿だな。」
「本気で早く死ね。」
「はいはい、言われなくてもお前よりは先に死ぬさ。」
部屋とベランダを結ぶ扉の閉まる音が聞こえた。ようやく一人でゆっくりと煙草を吸える。
部屋着のポケットでスマホが震えている事に気付いた。
>> 会おう。
>> 全然連絡くれないし、そろそろ相手してよ。
既読を付け、出かける支度を始める。二回目の洗濯を諦め、今日も誰かに抱かれる準備をする。連絡が来るまで存在を忘れていたような人と、ホテルで時間を共にする。昼間からだろうと、夜中であろうと、私には関係ない。
快楽に溺れたい。ただ、それだけだ。
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