第34話 VSケルベロス
神速の居合切りがケルベロスの右前脚を斬り飛ばす。
「ガァーーーーーーーー」
前脚を斬り飛ばされながらも、ケルベロスがその鋭い牙と強靭な顎を使った噛みつき攻撃をしかける。
だが、ケルベロスの攻撃は当たらない。確かにケルベロスの攻撃は早い。
だが、《神技 暁》発動中の俺には当たらない。
「次は後ろだ!」
ケルベロスの右後脚が斬り飛ばされる。
当然、四足獣が片側の脚全てを失えば態勢が崩れる。これで終わりだ……
狙うは頭。斬り飛ばす。
「終わりだ」
……!?捉えたはずの一刀は、斬り飛ばしたはずの右前脚に止められる。
「……再生?」
ケルベロスの右前脚、そして右後脚が回復している。
黒い炎を纏った右前脚が俺の一刀を防いでいるのだ。
「再生に……身体強化も使っている。モンスターも使えるのか」
―――――――――――――――
一方、闘技場の外では……
「タカトもケルベロスの動きも全く見えん。ミキ、ユイおまえ達は見えるのか?」
キョウコ先生が闘技場を見つめるミキとユイに話かける。
「「かろうじて所々を見るだけなら……何とか」」
「そうか、流石だな……イズミ、ユウキおまえ達はどうだ?」
「「見えないです」」
「あぁ、先生。目に魔力を集中すると良いですよ。身体強化を目だけにするイメージで。」
「なるほど。ミキありがとう。やってみよう……こ、こうか?」
「じゃあ俺も」
「イズミも」
3人は身体強化を目だけに施す……
「「「見えるっ!あたし(俺)(イズミ)にも敵が見えるぞっ!……少しだけ」」」
「セリフがギリギリですよ?キョウコ先生も意外とお詳しいんですね?」
ユイが笑っている。
闘技場の外は、さほど緊張感には包まれてはいない。皆が信じてるのだタカトの勝利を。
―――――――――――――――
「首をかばったんだ。足は再生できても首は無理なんだろ?」
「グルルルル……」
俺は《神技 暁》を、ケルベロスは身体強化を発動。
「居合で首を斬り飛ばす……」
チンッ……
刀を鞘に戻す音が聞こえる。もう終わっていたのだ。
《神技 暁》で超速移動しての、超速の抜刀術で。
ゆっくり落ちる頭……それが地面に落ちる寸前、頭が燃え尽きた。
そして、闘技場全体を黒い炎の爆発が襲った。
「!?」
逃げ場のない全方位攻撃。結界があるので闘技場からも逃げられない。
神技暁発動で加速する思考の中、これは躱せないことが明確に分かる。
(そもそも何故生きている?頭は斬り飛ばした。だが、ケルベロスの頭は元通りだ)
斬り飛ばした瞬間にケルベロスは、その身体を黒い炎に姿を変えて大爆発を慣行したのだ。それがこの闘技場全体を覆いつくす黒い大爆破だ。
(これを防ぐには、当然アレしかない。女神魔法だ。
イメージは黒い炎を防ぐことか?いや……そうじゃないだろう)
加速する思考の中で答えを出す。
黒い炎もケルベロスもまとめて……消す。
魔力の全てをこの魔法に……
イメージは出来ている。何しろ見たばかりだから。
魔力集中……イメージ構築……
「女神魔法
その瞬間、音が消え、黒き炎が消え、爆発の衝撃が消え、ケルベロスが消えた。
ついでに、闘技場に残されていた炎獅子の魔石20個も消えた。
黒い暗い闇よりも深い穴が全てを消し去る。
「解除……」
そして、ブラックホールは消え去った。
(よしっ!イズミのような失敗はせずに済んだ。でもこの魔法再現はキツイ。魔力が空だ……それよりもこの魔法は危険すぎる。自分も仲間も巻き込み兼ねない……)
そして、恒例のアナウンスが頭に響く
「ケルベロスの討伐を確認。ミッションクリアです。クリアした個体名:タカト・ミヤモトにクリア報酬を与えます」
そして、唐突に部屋の中央に虹色に輝く宝箱が出現した。
「え?報酬なんかあったのか!?これは嬉しいっ!」
さっそく開けてみようじゃないか。
と、思ったら勝手に箱が開いていく。
そして箱から、黒い炎が立ち上る……
(おいっ、まさかまた敵が出るのかよ!!!)
黒い炎は少しづつ形を変えて黒いマントに変わっていく。
そして、いつの間にか俺の身体を覆っていた。
「い、いつの間に??」
そして、再度アナウンスが頭に響く。
「タカト・ミヤモトに
そして、闘技場から膜が取り払われた。
ようやく、ミッションクリアである。……疲れた。
第2階層ボス討伐後の実績
討伐数 78/100(魔石56/100)
※炎獅子の魔石×21は、ブラックホールで消滅。
※獄炎獣ケルベロスの魔石×1は、ブラックホールで消滅。
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