第31話 ダンジョン攻略2日目

(はっ⁈俺は何を……思い出せない。何か、何か重要なモノを見たはず。しかし、思い出せない!!)


「あら?タカ起きた?」


「お兄ちゃん、おはよう。朝じゃないけど」


「……どれくらい経った?俺は……ミキ、ユイ。俺は何故、気を失ったんだろうか?」


「「女神魔法で魔力枯渇したからよ(したからです)」」


「え?でも、何か忘れてるような??」


「「女神魔法で魔力枯渇したからよ(したからです)」」


(……これは触れてはいけないヤツか。踏み込んだら駄目なヤツだ)


「そ、そうだったな。魔力使い過ぎたか……

 そういえば皆は?」


「ほら?あなたの後ろ」


 振り返ると3人の姿がある。


「良かった。皆、無事かぁ」


 キョウコ先生とイズミは疲れてはいるが、手を上げて、大丈夫と合図をくれる。

 ユウキは、まだ起きてないのか。まだ横になっているようだ。


「ミキちゃんと、ユイちゃんに聞きました。とんでもないご迷惑をおかけして、ゴメンなさい」


「悔しいな。なんとかあたし達で勝ちたかったのだが」


「いや、勝ってましたよ。俺達がフォローしたのは、イズミの魔法の後始末だけなんで。それにそれくらいは頼ってください。仲間でしょう?」


「……そうだな。改めてありがとう。助かったよ」


「タカくん、ありがとうございました。まだまだ魔力制御が甘かったです。まさか、発動と同時に全魔力持っていかれるなんて……結局倒したの見てないんですよね」


「あたしは辛うじて、イズミの魔法が発動して、炎獅子が黒い闇に飲まれたとこまでは記憶にあるが、そこから先は覚えてなくてな」


「まあ、あんなのが間近で暴走したら、気も失いますよ」


「うっ、本当にすみません」

 イズミが落ち込んでしまった。でも、イズミを見ると何か思い出しそうな……


(それに、黒、黒か……)


「どうした?タカト」


「いや、何かと言うワードに何か引っかかって……」


 ジー

 なんだろう?ミキとユイから不穏な気配が、これは思考停止しとこう。


「さ、さて、ユウキが起きたら、一旦帰りましょうか」


「あぁ、そうだな。今日はここまでにしよう」


 その後、しばらくして起きたユウキに事情を説明して、俺達はダンジョンを後にした。

 こうして1日目の探索は終了。帰り道に遭遇したスライムにリザードマンを複数討伐。


 討伐数 36/100(魔石35/100)

 ※炎獅子の魔石は、ブラックホールで消滅。


 こうして、1日目の探索は終了した。



 ―――――――――――――――



 そして、2日目。

 再びダンジョンの第一階層に到着。今日は第二階層まで探索する予定だ。

 依頼達成期限の1週間までは、Cランクダンジョンへの転移陣も俺達だけが、利用できるそうだ。

 ありがたい。ちなみに城のメイド長に昨日ののことを話したところ、心配してついて来ようとするのを宥めるのが、大変だった。メイド長は割と過保護である。



 俺達は順調にダンジョンを先に進む。第一階層は慣れたもの、スライムやリザードマンは、キョウコ先生達の相手にはならない。対モンスター相手に戦う技術も洗練されてきてる。


 ユウキの斬撃がスライムの核を一閃。そして、振り返り様に魔法を発動。

「《ファイア・アロー》」

 炎の矢がスライムの核を撃ち抜いてゆく。


 キョウコ先生の蹴りが、リザードマンをたやすく斬り裂く。蹴りなのにのだ。

 これは気と魔力を纏わせて蹴りにを付与しているらしい。キョウコ先生の技も冴えわたる。流石は俺達の女王様だ。


 イズミは、昨日の失敗から魔力制御に重点を置き、最効率での魔法行使を意識しているらしい。

 魔法行使寸前で、複数の魔法を待機させてから、一気に複数の魔法を同時行使していく。《マルチキャスト》とイズミが名づけた技術で、過去の賢者が使った技で凄い殲滅力である。


 そして、第一階層のボス部屋に着く頃には、今日だけで20体程の討伐カウントが増えていた。


 ―――――――――――――――


「よし!今度こそ気絶しないで、ボス討伐してやるぜ。」


「ユウキあまり前に出すぎるなよ?」


「イズミもやりますよぉー!」


 気合の入る。ユウキ、キョウコ先生、そしてイズミの三人。

 ボス部屋に空いた天井と床の穴は完全に塞がっている。やはりダンジョンの自己修復機能は謎に満ちているな。

 そして部屋を進むと、部屋の中央に恒例の暗いモヤが出現する。

 ボスの登場である。出現したのは、炎獅子ではなく、《ジェネラル・リザードマン》流石に連続でレアボスはないか。


 ジェネラル・リザードマンは、槍遣いらしい。

 大きく槍を振り回しながら、部屋の中央で待ち構えている。

 ジェネラル・リザードマンに向けて、一番に迫ったのはユウキ。


「一番槍もらったぜ。剣技 光突き《こうづき》!!」

 光を纏う勇者の剣技で、高速の3段突きだ。


 ジェネラル・リザードマンも槍で対抗するが、ユウキの突きが早い!

 1弾目は槍で反らすが、続く2弾目の突きがジェネラル・リザードマンの肩を貫き、3弾目の突きが胴体にヒットする。

 思わず後ずさるジェネラル・リザードマンに、ユウキの後方に控えていたキョウコ先生の拳がジェネラル・リザードマンの顔を捉える。

「そこっ!!」


「ギィヤァーーー」

 キョウコ先生の拳を受け、そのまま壁に叩きつけられるジェネラル・リザードマン。


 そこへイズミの魔法がトドメになる。


「《ライトニング・アロー》」

 無数の光の矢が壁に叩きつけられたジェネラル・リザードマンに殺到。

 そして淡い光が弾ける……そこに残されたのは魔石のみ。


 第1階層ボス ジェネラル・リザードマン相手に3人は完勝である。



「お疲れ様。三人とも見事な戦いだったよ」


「よし!完勝だったな!」

 ユウキが喜ぶ。やはり昨日の気絶を気にしていたのだろう。今日は一段と気合が入っている。


「えぇ、いい連携でしたね、ジェネラル・リザードマンにまともに戦闘させることなく、終わらせることができました」

 イズミも嬉しそうだ。敵にトドメをさすのはイズミが圧倒的に多い。


「ふぅ~、ようやくボスを倒せたか。何とかここのボスなら1対1でも勝てそうだな」


 第1階層ボス討伐後の実績

 討伐数 57/100(魔石56/100)

 ※炎獅子の魔石は、ブラックホールで消滅。



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