第22話 模擬戦②女の闘い

 城の魔法士さん達により気絶していたキョウコ先生、イズミさんは既に回復していた。ユウキは外傷はないが気絶したままだ。

 俺の女神魔法は、嵐で俺以外を吹き飛すイメージで構築。ダメージは最小限に抑えたが、イズミの魔法の直撃を受けたユウキのダメージはそれなりだったようだ。


「いゃ~参った参った、まさか3人がかりで一蹴されるとはなぁ〜なあ、ヒカワ?」


「全くですね、イズミの最後の魔法はもらった!って思ったんですけどね〜せっかくユウキさんを犠牲にしたのにぃ」

 イズミのイメージが、昨日と今日で別人なんだが??


「ははは……いやぁ、最後はちょっと焦りましたよ。女神魔法まで使わされるとは思わなかったですし。俺にとっても非常にいい経験になりました。また、やりましょう!」




 そして、舞台の準備も整い本日の模擬戦第二回戦の始まりだ。ミキVSユイの女神の加護持ち同士の幼なじみ対決だ。何故だろう?ちょっと殺気が漏れているのは気のせいだろうか?


 舞台上では既に二人共向かい合っている。



「さてと、いよいよ私たちの番だね、ユイちゃん」


「はい。わたしたちも頑張りましょう!ミキちゃん。負けませんよぉー」


「ねえ、ユイちゃん。ちょっと提案があります」


「?なんです??」


「ほら?私たちが怪我とかすると、タカも心配するじゃない?」


「あぁ、お兄ちゃんはが怪我したら、泣いちゃいますね!確かに」


「いや、?そこは!

 でね、私たちの勝負は魔法対決にしない?魔法で優劣を競うの。お互いの魔法をぶつけ合い方の勝ち!どう?」


「いいですよ!望むところです!それで行きましょう!」


「うん。じゃあ、魔法対決で!お互い競り勝った段階で、魔法を消す。お互い怪我ないようにしましょうね」


「はい。大丈夫です!」


(フフフ……私はたぶん女神よ?まあ、記憶なんかないんだけどね?女神相手に女神魔法で勝負になるわけないじゃない?ユイちゃんたら、可愛いんだから……)


(フフフ……魔法なら勝てると思ってますね?甘いですよ、甘々です。女神魔法は、イメージの力。イメージとは妄想力でもあります。日夜、お兄ちゃんとのアレコレ妄想してるであるわたしに勝てると?フフフ……この勝負頂きましたよ。)


「「フフフ……」」



「あ、あのミキ様、ユイ様、そろそろ始めてもよろしいですか?」

 兵士長がなんか冷や汗かいてるぞ。


「えぇ、いつでもどうぞ」


「で、では……は、始め!!」


(クールな私には氷。凍てつく吹雪、全てのものが閉ざされる氷雪の地獄……イメージよ、現実となれ。)

「……《コキュートス 》」


(わたしの前に立ち塞がる全てを燃やし尽くす。燃え尽きろ地獄の炎熱で。さあ、顕現しなさい!)

「……《インフェルノ》」


 ミキの突き出した右手から生み出された事象は、まさに氷に閉ざされた地獄のような光景。全ての活動を止める


 ユイの突き出した右手から生み出された事象は、ミキとは対極。全てを燃やし尽くす。濃縮された炎熱の波が全てを飲み込む。


 地獄と地獄。それが舞台上で激突した…


 荒れ狂う氷と炎の饗宴。お互いに譲らない全てを破壊し尽くすべき地獄の様相。この破壊の饗宴は、完璧に舞台上だけに展開されている。冷気すら、炎熱すらも舞台外には漏らさない完璧な制御。


 マジか?なんて制御力だ。

 あれ??俺よりも制御力が上じゃね??……いや、制御と言うよりはイメージ力か?女神魔法はイメージしたものを具現化する。つまりお互いに完璧な事象イメージを持って、あの破壊を具現化させたのか。しかし2人とも俺の貸したラノベや漫画の影響受け過ぎだろう。


 そして、それは唐突にかき消えた。


「「うん。互角かぁ〜」」


 横を見ればキョウコ先生もイズミも、目が点状態だ。

 ギャラリーの皆さんも口が開いてらっしゃる。あ、いつの間にか王様と神官長に魔法士長までいる。例外なく全員が圧倒されている。


「うーん、流石に魔力消費が激しいね」


「はい。わたしも次がラストかな?今のインフェルノで決めたかったんですけどね、やりますねミキちゃん!」


「こちらのセリフよ、ユイちゃん。まさかコキュートスで決められないなんてね。昨日から魔法イメージを強く持っていたのよ。とっておきだったのに……」


「では、そろそろ」


「えぇ、そろそろ…」


「いくわよ!」


「いきます!」


(広範囲じゃなく1点突破でいくわよ!)


(スピードと貫通力重視でいきます!)


「「《レールガン》!!」」


 「「な!?」」

 2人して驚いている。


 お互いに同じポーズで突き出された人差し指から放たれるのは、レーザーとも言うべき光の線。……それが舞台中央で激突!そして光が爆発した…


 爆発の後から響く轟音。音を置き去りにした光が爆発した。そして、光の爆発的な輝きと轟音に皆が耳を抑え、目を閉ざす。


 2人共同じイメージでレールガンを再現したのか。女神魔法は、イメージ力次第を体現したような魔法と言えるな。2人共レールガンの理屈なんて理解しちゃいないだろうからな。実際には、魔力の塊を精製、それを超高速で撃ちだすイメージで再現した感じなのかな?

 日本では某有名小説&アニメが元でこの兵器名も有名だ。イメージもつきやすいのは確かではある。


 そして、轟音と光の饗宴が晴れた舞台上には…2。つまり、この勝負は、引き分けである。



 ミキ・ナルカミVSユイ・ミヤモト

 引き分け。



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