第18話 国からの提案

 衝撃な報告を受けてから数時間が経過した。簡単には割り切れないところがあるものの、いま俺達にできることはないだろう。


 皆の様子もいくぶん落ち着いたように見える。俺達はゼファル王より今後についての話を受ける為に召集されていた。


「余も正直まだ混乱しておるところではあるが、勇者殿の件……いや、ハヤト殿については進展があり次第、皆さんにも必ず話をさせて頂こう。

 では、さっそく皆さんの今後について、我が国からの提案だ。よく検討してみてほしい」


 ゼファル王より提案を受けた内容については、まとめるとこんな感じだ。

 ・「キョウコ・センゴク」「イズミ・ヒカワ」「ユウキ・スドウ」の3名には国が後ろ盾となり身分を保証する。

 ・「タカト・ミヤモト」「ミキ・ナルカミ」「ユイ・ミヤモト」に関しては、この世界最大の宗教である女神教めがみきょうが身分を保証する。

 ・全員イルティリス王国の国賓待遇として扱うので、衣食住全て国が保証する。

 ・「キョウコ・センゴク」「イズミ・ヒカワ」「ユウキ・スドウ」の3名はイルティリス国の保証の元、主要5国内でCクラス冒険者の権限を与える。

 ・「タカト・ミヤモト」「ミキ・ナルカミ」「ユイ・ミヤモト」の3名は女神教の特殊待遇とし、女神教を国教とする主要5国内で、Aクラス冒険者の権限を与える。

 ・「キョウコ・センゴク」「イズミ・ヒカワ」「ユウキ・スドウ」の3名は、対魔族に関する国からの要請があった際には、に協力すること

 ・「タカト・ミヤモト」「ミキ・ナルカミ」「ユイ・ミヤモト」の3名は女神教イルティリス国支部に是非招待させて頂きたいと要請を受けている。

 ・それぞれの権限を有した専用の身分証を発行する。

 ・「ハヤト・ワシミヤ」は勇者認定を抹消として、主要5国内で指名手配とする。


 ガンガン女神教の名が出たが、これは鑑定水晶の結果を女神教にも共有したところ、すさまじい勢いで保証を申し出てきたそうだ。

 本来なら、イルティリス国の名で身元保証や権限付与する予定が、女神系の称号をもつ3名は是非にとの申し出を受けた結果だそうだ。


 正直、破格と言えるだろう。異世界召喚ものだと、いいように利用しようとしたり、強制的な戦闘従事を課すパターンも多い。そう考えれば良心的かつ、非常に好意的な扱いといえる。


 キョウコ先生、イズミ、ユウキの3名には、対魔族に関する国からの要請があった際には、に協力する旨があるが、対魔族への対抗として異世界人の召喚をしていることもあり、それはやむを得ないところだろう。まあ、やばそうな内容の要請なら俺たちも協力すれば良い。


 だが、気になるのは、俺にとっては敵認定の「聖女レナ・ボーグ」と「神官長ファリス・ボーグ」の繋がりか……繋がりがあるなら、イルティリス国との付き合い方を考えないといけないかもしれない。


 ―――――――――――――――


「すぐには結論が出せまい。しばし待とう、ゆっくり考えると良い。我が国にとっては皆の結論に関わらず国賓待遇とするつもりだ。なので、衣食住についても気にする必要はないぞ」

 ゼファル王の配慮がありがたい。



「ありがとうございます。では、しばしお時間を頂戴したく存じます」

 俺達を代表してキョウコ先生が答える。


「……」


「む、使徒様いかがなされた?何かあれば言って頂きたい」


「ゼファル王。ファリス神官長に少しお時間を頂きたいのだが、良いでしょうか?」

 さて、をはっきりさせないと結論が出せない。状況によっては困ったことになるが……



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