第8話 鑑定水晶
「お疲れのところ申し訳ないが、こちらです。勇者候補の皆さん」
神官に案内され、通されたのは教会のような厳かな雰囲気のある部屋だった。
「はぁ……これは雰囲気あるなぁ」
祐樹が関心している。こいつは大物だな。
他の皆は、この部屋の濃密な魔力に圧倒されている。俺は魔力を既に感じられるが、他の皆にはよく分からないものなのだろう。何かある。それは分かるがそれが何かは分からない。
そして、この濃密な魔力を発生させているものは、アレだ。部屋の中央に据えられた鈍い光を讃える水晶。あれが鑑定水晶なのだろう。
水晶の前には笑みを浮かべた。神官長のファリス・ボーグ。
そして、その背後には王であるゼファル・イルティリス9世の姿もある。
さらにもう一人。王の横に控えた美人が口を開く
「はじめまして。勇者候補の皆さん
私の名は、魔法士長のアザリア・バレンタイン
鑑定の儀に立ち合い皆さまへ鑑定の内容を説明する役割です。以後、お見知りおきを」
「フン、早くしてくれ。
これはアレだろう?その水晶とやらで、僕達の力を鑑定するのだろう?
秘められし力を明らかにする魔道具といったところか……」
鷲宮は、得意げに偉そうな高圧的なしゃべり方をしている。
(おい、おい。いくら俺達が召喚勇者候補の客人待遇とはいえ、この国のお偉いさんだぞ?)
「ほぉ、流石は勇者候補と言ったところか。
その通りである。この鑑定水晶の力でそなた達の力を見せてもらおうと思う。
余の期待に応えれる力の持ち主であると期待しておるぞ?」
ゼファル・イルティリス9世の言葉は、重いだろう。期待に応えれる力がない場合は、どのような処遇になることか。
「クックク……
他の奴らは見るだけ無駄さ、おまえ達が期待している力を持つのは僕だけさ」
鷲宮は自信に満ちた表情だ。おまけに態度もでかい。
(こいつ異世界に来て、さらに増長してやがるな。)
魔法士長のアザリア・バレンタインが前に進み出てきた。
「では、さっそく君から見ましょうか?
あ、名前を知らないが……まあ、鑑定すれば分かるし、そのままで良いかしらね」
「では、この水晶に手を置いて頂戴。それで君の力が見れるわ」
「フン。驚くがいい」
鷲宮が水晶に手を置く。すると水晶が輝き……
「「「「「「「!!!!」」」」」」」
突然目の前に鷲宮のステータスが表示された。
「「な!!」」
アザリア、ファリスの驚く声が聞こえる。
「ほぉ……口先だけではなかったか」
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【名 前】ハヤト・ワシミヤ
【称号】《勇者【剣】》
【加護】《勇者の力》
【スキル】《剣技》《魔法》《魔力制御》
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(どうも、この部屋にいる全員の目の前にステータスが表示されているようだ)
(そう考えると、鑑定水晶もすごいな。でも、俺のステータスとはちょっと違うな。
流石にメッセージ機能はないか。……俺のステータス確認とは、やはりちょっと違うんだろうな)
「はい。記録!
勇者様のステータス情報はこちらで魔法紙にコピーさせてもらいましたよ。
……てっきり口だけかと思ったらやりますね。勇者様?」
「スキルやご自身の力は、自分のステータスを確認したことで、理解されたはずです。
もちろん使いこなすには慣れも必要でしょうが、ステータス確認後のあなた達は、まさに生まれ変わったのです。信じられないくらいの変化を感じとれるはずです。
以降は、ステータスと念じればいつでも自分のステータスは見れますよ」
「さて、とりあえず勇者様は、神官長の横でお待ちください。では、次の方に参りましょうか」
「クックク……見たか?これが本物と脇役の違いさ」
ニヤニヤしながら鷲宮が神官長の元に向かう。
俺を見てニヤリと笑いやがった。チッ、イケ好かないヤツだな。
「はい!俺が行きます!」
祐樹が次は俺だと、鑑定水晶の前に進んでいく。
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【名 前】ユウキ・スドウ
【称号】《勇者見習い》
【加護】《勇者の力【見習い】》
【スキル】《剣技》《魔法》《盾》
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そして、氷川さん、響子先生と続いていく
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【名 前】イズミ・ヒカワ
【称号】《賢者見習い》
【加護】《賢者の英知【見習い】》
【スキル】《賢者魔法》
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名 前】キョウコ・センゴク
【称号】《女王》
【加護】《女王の威光》
【スキル】《気功》《体術》
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「「なっ!!」」
アザリア、ファリスの驚く声が続く
「ほぉ、勇者見習いに、賢者見習いだと?
さらに、女王だと?ん、んん?女王……?
余も知らん称号だな。アザリア!女王とはどんな称号だ?」
「未知です、私も存じません。これは調べ甲斐があると言うものですね」
アザリア、ファリスに続き、ゼファル王も驚く結果らしい。
(響子先生……女王とか。キャラ的にまんまやん)
だが、アザリア、ファリス、ゼファル王の3人が、本当の意味で驚愕するのはここからだった。
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