第6話 記憶と力

「どうしたの?ぼーっとしてるけど」

 光姫が心配そうに俺を見ている……


「あぁ、すまない。なんでもないんだ。ちょっと考え事をな」

(流石に過去からのメッセージを見ていた。と言ってもな……)


 さきほど、俺の頭の中で記憶が少しだけ戻った。いや、戻ったというよりも別の記憶が追加されたような感覚だな。

 ようするに俺は過去にこの世界で死んだ。そして、女神の力で日本に転生していたようだ。なんで日本なんだ?と言うのは置いておくが……

 転生と言っても俺は俺だ。どうも過去に生きたタカの記憶はあるが、それも別人に近い感覚だ。


 まあ、いい。少し戻った記憶で分かったことがある。

 ・魔王との戦いで、仲間だったヤツ等に裏切られて命を落とした。

 ・現在、女神は封じられており、限定的な力しかこの世界では揮えないこと。

 ・この世界の一般的な知識。やはり本当に異世界だった。

 そして、使だな。

 これはステータスを見たことで、自然と自分にできることが理解できた。


 今回戻った記憶は主に魔王との闘いで裏切られ、命を落とした記憶だった。他人の記憶のような感覚ではあるが、俺は物語に感情移入するタイプだ。

 正直、胸クソが悪い。ヤツ等には、けじめをつけてやろう。過去の俺の復讐くらいはやってやろう。

 俺はこうみえて、ただの温厚な小イケメンではない。

 やられたらやり返すのだ。あのドラマではないが、それこそ10倍返しだ。

(気になるのは、聖女:レナ・ボーグ。神官長のファリス・ボーグも同じボーグか……関係者か?)


 次に力の内容だが、

 称号はゲームで言うとこの職業に近いものみたいだ。

 俺は、【称号】《女神の使徒【光・闇】》を持っている。この称号を持つ者は、文字通り女神の使徒として力が揮える。

 女神専用のスキルや魔法、女神の加護を持つ装備が使える。そして、神気と呼ばれる魔力とは違うも使えるそうだ。うん、チート称号だな。

 現在は、光と闇の女神の力を借りることができるようだ。でも制限がついてるようで、それぞれの女神の解放をすることで、さらに効果が上がるらしい。現状では、光の女神の力で、闇の女神の力でが使えるようだ。

 当面の目的は女神の解放。これが記憶で知った中では最優先事項だ。


 さらに、この世界ではと言われる宗教があるようだが、女神教に行けば拝まれそうな称号だな。


 次に【加護】《女神の寵愛》

 これもチートだ。効果としては、全ての行動に女神補正がつく。武器を使う際にも、魔法を使う際にも、スキルを使う際にも、成長補正にも、身体能力にも、さらには運までも。女神の解放が進めば効果も上がっていくらしい。


 同じくチート加護に「勇者の力」と言うものがあるようだが、それの完全上位版である。過去の俺はその「勇者の力」を持っていて、敵であるヤツ等も所持しているようだ。


【スキル】《魔力制御》

 これは、魔法行使の際に必要になる魔力の制御に補正がつく。魔法行使の際に魔力の消費効率があがり、威力も上がる。

 これがついているのは、日本に生まれてからずっと繰り返しやっていたの成果らしい。自分でも知らずに自身の魔力を練り上げ、制御力を上げるトレーニングをやり続けていたからのようだ。


【スキル】《女神魔法》

 この世界に住む、一般の人が使う魔法とは別物である。

 一般的な魔法が、正確な魔法名と詠唱破棄を使えない場合は詠唱を経て、効果を発揮するのに対して、女神魔法は

 ようするに、イメージさえ十分であれば自身の魔力を媒介にして、様々な事象を魔法として行使することができる。イメージの内容や規模次第では、行使できないものがあるだろうが、その自由度はハンパない。



【スキル】《高速思考》

発動すると思考速度が名の通りに加速する。おそらく戦闘時に限らず幅広く活用できそうだ。



【スキル】《神気》

これは闇の女神の力を得て使える神気を纏うことで身体強化する能力。魔力を用いて行う身体強化の上位版と言えるスキルだ。



【スキル】《創造》

 これは…まだ謎である。

 最初の記憶と力の開放では使用できないようだ。

 名称的にも匂いがする。


 そして【SP】

 これはスキルに関係するよう気がするが、《創造》と同じく謎だ。




「……宮本君、ちょっといいかしら?」


(ん?氷川さんか)


 この部屋に入ってから、ずっと静かだったクラスの委員長 氷川泉水さんが近づいてくるところだった。



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