第4話 ほら?異世界転移じゃん
「……む?来ましたぞ」
そこは厳かな雰囲気に包まれた不思議な部屋だった。そして、床に刻まれた不思議な模様から光が溢れている。
「王、間もなくです!」
少しやせ気味な神経質そうな男が叫ぶ。
「神官長よ、何人だ?」
口ひげを蓄えた立派な衣装。頭には冠を頂くその男の名はゼファル・イルティリス9世といった。
ここイルティリス王国の王である。
「……6、いや7名のようです。しかもこれはアタリですぞ」
神官長と王に呼ばれていた男の名はファリス・ボーグ。国の祭事を司る長であり、この召喚の儀を執り行った責任者でもある。
光が強く輝く、広間が光に包まれ、そして光が爆発した。轟音と光の濁流が広間を埋め尽くす。
そして、いくばくかの時間が過ぎて、魔法陣と呼ばれる床の文様の上に、幾人かの人影が現れた。
「つっ……ここは何処だ?」
頭を振りながら強烈な光に目を焼かれたのか、目元をこすりながら周りを見渡す祐樹。
「目がぁーーーー!!」
まるで、大人気劇場アニメの悪者のようなセリフで叫ぶのは美人女子高生委員長。
「理事長っ!!!!!!なんだあれは!……返答次第では許さんぞっ!!!!」
美人女教師が目元を抑えながら憤りを隠さない。
「いったぁ~
タカぁ?何処ぉー?いるんでしょー?」
金髪美人女子高生が何かに座り込みながら、目元を抑えながらキョロキョロと幼なじみを探す。
「光姫。ここだ俺はここにいる」
美人女子高生に勘違いして答える変態野郎がいる。
「タカ……良かった。……えっ、その声は鷲宮くん?あなたはお呼びじゃないわ。ちょっとタカ!何処よ!!!!」
ナイス!幼なじみ
「俺ならここだ」
さて、真打登場である。これはきっとあのイベントだろ?
「チッ」
変態の舌打ちが聞こえるが気にしない。
「ひっ!!ちょっとあんた!
どさくさに紛れてなんてとこにいるのよ」
「光姫の尻に敷かれてるのさ」
そう、俺は光姫の尻に敷かれている。
「まったく、私たち光に包まれて……どうなったの?」
「異世界転移だろ?お約束のさ」
目がまだチカチカする……
「はいはい。厨二〇、厨二〇」
「おまえら、こんなとこでも夫婦漫才かよ?」
薄らと見えてるのか、祐樹が近づいてきた。
「俺たちは何処でも、夫婦だからな」
良イケメンの祐樹は無事だったようだ。
「ようやく目が慣れてきたわね、ホントどうなったのかしらね」
光姫が俺の上からどいてくれた(どかなくても良かったのに)
「皆、無事か?」
響子先生も無事みたいだ。
「ようこそ、皆さん」
俺たちが声に振り向く。
そこには中世時代のような恰好をした人たちが、俺たちの元に来ていた。
「ようこそ、イルティリス王国へ
余はゼファル・イルティリス9世。この国の王じゃ」
「ようこそ、勇者候補の皆さん。
私はファリス・ボーグ。皆さんを召喚したこの国の神官長です」
信じられない顔をするクラスメイトに響子先生。
でも、俺は……
「ほら、やっぱり異世界転移じゃん」
「えっ、お兄ちゃん?」
……聞きなれたこの天使のような声、まさか!!!
振り向くと、魔法陣の片隅に、俺の天使。いや妹の結衣がこちらを見ていた。見間違うはずがない。まぎれもない天使(妹)の結衣がここにいる。綺麗な黒髪をツインテールにした小柄な美少女だ。スタイルは今後に期待だろう。だが、大きな愛らしい目に涙が浮かんでいる……
「な、なんで結衣まで!?」
宮本鷹斗
成神光姫
須藤祐樹
鷲宮隼人
氷川泉水
仙石響子
そして……
この7人がイルティリス王国へ召喚された勇者候補だった。
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