第2話 最後の日常

「よう!今日も夫婦で一緒に登校か?お熱いねぇ~」

 自分のクラス2-Cの教室に入ると声を掛けてきたのは、俺の悪友(親友)である須藤祐樹すどうゆうきイケメンで野球部だ。


 俺と光姫が一緒にクラスに入ると、ガヤガヤと騒がしかったクラスの皆が俺たちに注目する。

「そうかっ!やはり俺たちはそう見えるのか!」

 思わずニヤけてしまう


「チッ」

 イケ好かないイケメン成金野郎の鷲宮隼人わしみやはやとの舌打ちが聞こえる。

 鷲宮は光姫のことを狙ってるクソ野郎だ。

 もちろん超絶美少女の光姫に惚れるのは仕方ない。

 でもあいつは光姫だけじゃなく、手あたり次第に女の子に手を出している。あいつにとって女の子はブランド物と変わらないのだろう。

 もちろん光姫には相手にもされていない。である。


「タカ!ニヤニヤが気持ち悪いぞ?」

 こちらは良イケメンの祐樹である。いい笑顔で酷いことを言ってくるが、良いやつだ。

 高校で出会ったのだが、ウマが合いとても良い付き合いができている。

 当然ながらこいつは素でモテるのだが、野球に打ち込んでおり、高校生活は野球に全てを捧げているそうだ。


「私たちは夫婦じゃなく、 よ。このヘタレが一歩を踏み出さない限りね?」

 光姫が目もくらむばかりの笑顔で、酷いことを言ってくる


「……くっ!!!(告白できるなら、とっくにやっとるわ!!)」


 俺は、これまで何度も光姫に告白しようとしてるのだ。

 でも何故かのだ!

 今日こそは!と、告白しようとすると必ず邪魔が入る。

 俺の意志とに、告白の言葉を口に出せないのだ。


「光姫!俺は(おまえが大好き)だ!」

(何故、妹と咄嗟に言った!?)


「……シスコン!!うーんギルティかしらね?」


「光姫!俺と付き合ってくれ!」

(違うっ!買い物とか考えてもいなかったのにっ!?)


「買い物ねぇ~今日は惜しかったわね。30点!

 まあ、買い物には付き合ってあげるわよ」


 これは一例だ。何故か予定のない言葉が出てしまう。どうやら俺は呪われているようだ。俺の意志と関係ない言葉が勝手に出るのだ。


(謎の声:「簡単に告白なんかさせないわよっ!!抜け駆け禁止!!」)


 あのよく分からない言い間違い?は断じて俺の意志ではないはず(妹が大好きなのは真実だが……)

 いい加減にしないと、光姫に愛想を尽かされるのでは?そんな焦りがあったのだが、どうやら完璧に隠しきっていた俺の光姫への想いは、本人にはバレバレだったらしい。光姫は俺が言葉にするのを待ってくれているらしい。


(光姫も待ってくれている。絶対に俺の気持ちを伝えてみせるぞ!)


 俺が決意を固めていると、光姫が微笑ましい目で俺を見ていた。どうも俺の決意もお見通しのようだ。


 今日も変わらない日常の1日の始まりだと、この時までは思っていた。この日常がまさか唐突に終わるなんて……あのような形で。


 それはHRの終わりと共に唐突に起こった。



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