第1章 異世界よ、俺は帰ってきた
第1話 17年の悩み
俺は
17歳の高校生だ。
ずっと記憶にモヤがかかったような17年だった。
もちろん記憶喪失ではないし、生まれてきた17年の記憶はちゃんとある。
でも、何かを忘れている。そんな17年だった。
比喩でも何でもなく、17年の記憶が俺にはある。
生まれた瞬間から、記憶があるのだ。
母の声も、父の声も、俺が生まれた時の両親の喜ぶ声も記憶にある。
そしてこれが異常なことであることも、生まれた瞬間から理解していた。
そして、何故か生まれた時から、やらなければいけないルーチン作業がある事も理解していた。
この毎日、毎日、繰り返している何の意味があるかも分からないルーチン作業を。俺の身体に流れる《よく分からない力》を全身に流れるように意識し続けている。
身体中に循環させるイメージで、常に力が行き渡るように。何の為にやってるのか分からないのだが、これをやることが将来生き残る為に、絶対に必要なのだと何かが囁いているような気がするのだ。
意味が分からないだろう?俺だって分からないんだよ!
相談したことはあるのだ。10歳の時に勇気を出して。両親にも、初恋の幼なじみに、そして妹にも。
「俺には何か使命があると思うんだ。何か、こううずくんだよ。ざわつくんだ。俺の中の力が、俺に囁いているような気が……」
両親は微笑ましい笑顔で、優しく頭を撫でてくれた。
幼なじみには笑われた。
「フフ……それ知ってる!厨二◯ってヤツね!
大丈夫よ?見捨てたりしないわよ。私は幼なじみだからね」
妹には、
「おにぃ!わたしは右手が疼くの…流石兄妹だね!」
そうか…これが厨二◯か…と、俺はそこで納得してしまった。おかげで余計に拗らせた気がするぞ、妹よ。
結局何も分からないままに、俺の中ではずっとモヤモヤが晴れない。
相変わらずそんなことばかり考えながらも、今日も高校に向かっている。
横には初恋の幼なじみでもある
輝くような金髪に抜群のスタイル。小中高全てにおいて学校一の美少女と言われ続ける文句なしの幼なじみ。そして初恋の女の子である
「…毎日、毎日お話があるんです。好きです。付き合ってください。どいつもこいつも同じことばかり。これもタカがはっきりしないからよ!……ねえ!話、聞いてる?」
「き、聞いてる。聞いてるよ。」
「タカもいい加減さぁ、私に告白でもしてきなさいよ。あんたがはっきりしないから、毎日、毎日有象無象に告白されて迷惑なんだからねっ!」
「ん?……こ、告白?え?……な、なんだよいきなりっ」
髪を掻き上げ胸を張る。その姿に思わず見惚れてしまう、可愛すぎる我が幼なじみの光姫。
「タカが私によ!幼なじみの私に気づかれてないとでも?タカが出会った時から、私にベタ惚れなのはわかってるから、隠す必要も取り繕う必要もないわ。
タカも頑張って、告白しようとはしてるみたいだけど、もうちょっと頑張りなさい!」
「……」
「いったいいつ男を見せるのかと待っていれば、いつまでも厨二こじらせてないで、早く男を見せなさいっ!まあ、私の返事がどうなるかは分からないけどね?フフ」
朝から幼なじみに特大の爆弾を落とされた……悩みがまた一つ増えてしまった。
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