Ⅲと3.5 12年(平24年)、15年(平27年)

 気が付けば、ライディファンページもいつしか消えてしまっていた。


 ZYXがコンテンツトラフィックに統合された09年の8月から、アンソロジーコミック『闘神艶戯』にライディ一作目(リメイク版)の漫画が掲載され始めた。


 この漫画自体は、エロゲー原作のコミックの中でもなかなか出来が良く、いい漫画だったと思う。和馬村政さんがいい仕事をなさっていたのであるが、しかし、これをやるなら、リメイク版発売の前後、あまり期間を空けていない時期にやるべきだった。


 リメイク二作目が発売されてから2年も経ってからの漫画版。人気作ならともかく、マニアックなエロゲーであったライディだ。再度火をつけるには至らなかった。


 そして、あの東日本大震災を挟んだ後、東京スカイツリーが開業された12年。


 Ⅲが発売された。


 実のところ、もともとライディは三部作構成だった、という話をファンページで聞いていた。朝凪軽さんが書いたプロットが、ZYXに残されている、という話も小耳に挟んでいた。


 果たして、最終的に発売されたⅢが、朝凪軽さんの当初プロット通りのものだったかはわからない。


 でも、私の感想を言わせてもらえれば、Ⅲは何か違っていた。


 かつてのライディにあったような牧歌的雰囲気は、どこかへ消えてしまっていた。


 たしかに、勝っても負けてもH、という点ではコンセプトは変わらないが、ただ、ライディが受けるHなお仕置きは、旧作と比べてエグいものになっていた。


 旧作では、恋人同士がソフトSMでやっていてもおかしくないような、割と優しめなHだったのに対し、Ⅲは本格的に「陵辱」だった。Hシーンの方向性が、旧作とはどこか違うように感じられた。


 システムも、パーティキャラとの融合の要素が上手く機能していたとは思えない。ボリュームも、Ⅱと比べたら少なく感じる。


 新しい声優さんによる音声収録や、プレイヤーをゲームで楽しませようという工夫は感じられたものの、求めていたのはこれじゃない、という感覚は拭えなかった。


 やがて、15年に、一作目のボスであるダークエルフのフォレスを主人公にしたスピンオフ「3.5」がひっそりと発売されたが、大して話題にもならなかった。


 こうして、以降、新作の気配はまったく無いままに、現在に至るのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る