リメイク版の発売。そして 05年(平成17年)

 あの頃、ライディの同人活動が熱かったのは、リメイク版の発売決定が後押ししていた面もあると思う。


 そう、最初にライディが発売されてから約10年経ち、まさかの、リメイク版発売が決定したのである。


 エロゲー界の老舗であったZYXだが、この時期にはもう勢いを無くしていた。

(最終的にリメイク版を発売した4年後に株式会社コンテンツトラフィックに統合された。その件は後述)


 起死回生策として、根強い人気を誇るライディシリーズに目を向けたのだろう。

 シルエットによる告知の後、満を持して発表された、リメイク版。


 我々ライディファンは沸いた。もう古くなりつつあった、あのライディが、最新のグラフィックで蘇るのだ、と。


 そこへ畳み掛けるように、ZYXも色々なキャンペーンを繰り出してきた。


 もう、だいぶ昔のことなので、時系列は曖昧になってきている。たしか、リメイク版一作目も店舗限定特典を出したりしていたが、リメイク版二作目はもっと激しく攻勢に出ていたと思う。このあたり、時間があればもっと詳しく調べたいが、今回は時間が無かったので、曖昧なままで。


 とにかく、秋葉原でイベントを開催したり、予約総数に応じてもらえる特典が変わったり、リメイク版の「Ⅰ」「Ⅱ」とメーカー自ら大プッシュしていた。


 途中でパッケージ版の販売凍結騒動が起きる等、多少のトラブルはあったものの、なんとかリメイク版一作目が発売となり、古参ライディファンは、ワクワクしながら購入した。


 そして、目を丸くすることとなった。


 普通、リメイク版と聞いて、どんなものを想像するだろうか?


 CGの差し替えは当然として、音声の新規収録、シナリオの加筆、新要素……リメイク版を出す、その時代に合った形で作り直しがされていることを期待するのが、当然だと思う。


 ところが、ライディのリメイク版は、ほぼ旧作と同じだった。


 CGこそ、和馬村政さんの美麗な絵に換わっていたが、音声は旧作のまま、Hシーンを含めた全てのシナリオも旧作のまま。


 05年にフルプライスで販売するパッケージソフトとしては、驚くほどに中身の無い、スカスカなゲームとなっていた。


 94年の頃だったら、十分なボリュームだったと言える。だけど、それをそのまま、10年も経ったというのに何も付け加えることなく出すというのは、いかがなものか。


 たぶん、ほぼ全てのライディファンは拍子抜けしたと思う。新規ユーザーについては、そのあまりのボリューム不足に不満を抱いたに違いない(事実、当時のエロゲー批評サイトでは、Hシーンの短さ等に批判があった)。


 リメイク一作目発売直後から、ファンページにおいても、なんとも言えない微妙な空気が流れ始めていたような気がする。


 翌年、RPGとしてのボリュームは十分にあるリメイク版ライディⅡが発売され、Ⅰよりもさらに大々的にキャンペーンも打たれていたが、もう、流れは止められなかったと思う。


 09年5月に、ZYXは株式会社コンテンツトラフィックに統合されてしまった。

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