第17話文化祭7

どうしてこうなる……

誰か貰ってあげてよ。もう!!

職員室の扉を開けた時にはこうなると想像してなかった。

話が全く進まなかったのだ。


「すいません!塚本先生おられますか?」


「塚本先生なら煙草を吸いに行ってるよ!」

職員室の奥から太い男の先生の声が返ってくる。

小学生・中学生は先生の名前をある程度覚えていたが高校生


「分かりました!ありがとうございます!」

五分くらいしたら戻って来るだろう。

職員室の前で待って居よう。


「……」

五分経った。


「……」

二十分経ったぞ。

何本煙草を吸っているんだ。

一種の職務放棄じゃないのか。


「そろそろ戻ろうかな……」

三十分……

流石にもういいだろうと思った時塚本先生が哀愁を漂わせている姿が見えた。

何かあったのか?

文化祭前で忙しいからだろう。

とりあえず話をしよう。


「塚本先生。文化祭の件で少しいいですか?」


「ああ……出会いの季節だもんな~」


「……?どうかしたんですか?」


「いや。何でもない。続けてくれ!」


「何でもないならいいですけど。文化祭のお化け屋敷で注文しておいてもらいたいものがあって」


「そうか。注文しすぎたかな……」


「もう注文したんですか!」


「いや、何を注文すればいい?」


「この紙に書いてあります!」


「ありがとう!えっと……」


「先生。気持ちが飛んでますよ!」


「言うつもりは無かったが聞いてくれるか?」


「まぁサボる口実になるのでいいですよ!」


「君はそれでいいのか?」


「いいんじゃないですか。特に何かしてるわけではないですから」


「まぁいいだろう。実はだな……折角のお見合いを断られたんだ」


「そうですか……そりゃ気の毒ですね」


「そうなんだよ!明日が予定の日だったんだが確認のメールを送ってディナーの場所とか色々決めたんだ。でもさっき電話で連絡が怖かったのでお見合いの話は無かった事にって……」


「どんな連絡の取り方したんですか?」


「こんな感じだ」

ん?おいおい全部一分以内に連絡返してるじゃないか!

それにこのあたり……

本当に明後日ですよね?

実は彼女おられたりしませんよね?

五日前から五日後楽しみにしています。

四日後楽しみにしています。

三日後楽しみにしています。

明後日楽しみにしています。

なんだこのメリーさんの電話みたいな怖い文……

実は塚本先生は霊で俺にしか見えていないとか?

そんなわけないか。

そんな事よりこれは怖がられるな。庇い様がない程に。


「先生。流石の俺でも怖いですよ!」


「そうか!普通だと思ったが……」


「そこらのホラーよりよっぽど寒気がしました」


「……」


「わ~泣かないで下さい!」

目に涙を浮かべている塚本先生。やばい先生を泣かしてしまった。


「そんな事言われても……」


「アドバイスです!先生はいつも通りに連絡したらいいんです!変に意識しすぎです!」


「成程。メモさせてくれ!」


「それはしなくてもいいんじゃないですか?」


「いや大切な意見だ。留めておきたい」

おいおい。学校で塚本先生がメモしているところ見たことないぞ。

なんか流石だな……


「いいですけど。普通の先生はカッコいいしモテると思いますけどね~」


「え?本当!!」


「そうですね。俺が生まれるのが早ければ憧れてましたね~」


「え?!」

先生そこで赤くなるのはやめてください。俺まで恥ずかしくなるじゃないですか!


「ともかく!普通でいいんですよ。普通で!」


「分かった!ありがとう!」


「いえいえ!俺は教室戻りますね!」


「おう。気張るんだぞ!」

元気出たそうで良かった。

それにしても恋人すらできない理由はこれだったのか~


「しまった!予算に収まるか相談するの忘れてた……」

思い通りに話を進められなかったから忘れていた。

中途半端に終わってしまったこの状態。

その靄を塚本先生に責任転嫁して今に至るのだ。


「本当

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