第16話文化祭6
文化祭の準備が本格的に始まったのはその次の日からだった。
居残りが普通になる。
部活をしていない者は基本居残り。
部活をしている者はできる限りで良いらしい。
しかし部活をしていない=暇ではないはずだ。
大学受験に備え予備校や塾に通っている者も多くいる。
それなのにこのような感じで言われるのは……
陰の人間である自分にとってイケイケの陽キャの決めたことを快くは思えない。
というか俺が嫌なだけだ。
どんな言葉を並べてもそれが真実。
考え方が引きこもりニートな感じだ。
「勝村君!塚本先生に注文しておいてもらう物をメモしておいたからお願いしておいて!」
佐々木が携帯でお化け屋敷を調べているフリをしている俺に頼んできた。
正直そのあたりは実行委員の二人がやるべき事じゃないのかと思う。
知らんけど。
「分かった。明日にでもお願いしておく!」
引きつった笑顔になっていそうだがなるべく笑顔で応えた。
「よろしく!」
ハイテンションのままどこかに消えていく。
それにしてもいつまとめたんだ?
「菫。これいつ決めたんだ?」
「えっと……昨日の夜だね」
「夜中に集まってたのか~」
「違う、違う!クラスのライングループで!」
「そんなのあるん!」
「入ってなかったの!」
「俺はメールしかやってないから」
「そういや前に言ってたね」
「友達がいるならやっててもいいとは思うけどいないし」
「私がいるじゃない!」
「菫は腐れ縁に近い気がする」
「え~!まぁいいや。今度から決まった事メールしてあげる!」
「いいのか?」
「勿論!それに仲間外れにしてる感じで嫌だし」
「それは俺が悪いし」
「一人だけ知らないってのが嫌なの!」
「まさか俺だけ?グループにいないの」
「そうだよ!」
「まじか……」
あの地味な奴も眼鏡も暗い奴も入ってるのか。
何だろう。凄く敗北感がこみ上げてくる。
「マジよ!」
「人は見た目で決めちゃ駄目なんだな……」
「??どういう事?」
「いや!何でもない!」
「そう?」
いつも笑顔な菫を見ていると少し自分も明るくなれた気がする。
気だけだが。
「うん。これをお願いしておく」
「頼むね!」
さてと明日聞きに行くか。今日終わらしてしまうか。
解答はすでに出ているが心が嫌がっている。
「仕方がない。今日中に聞くか~」
材料がなければ全て机の上の空論だ。
そしてもう文化祭までそんなに時間がない。
俺は一択の答えを間違えれるほど無責任な人間ではないはずだ。
塚本先生は部活の方にいるのだろうか。それとも職員室にいるのか。
考えを巡らせた挙句なんとなくの理由で職員室に俺は向かう。
そして後者であってくれよと願い職員室の扉を開いた。
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