第三章 お肉を料理しよう!
お肉の「味」と「質」には気をつけよう!
あ、いらっしゃーい! よーこそ、アタシのキッチンスタジオへ。まあ、スタジオって言ってもタワーマンションの一室だけどねー。ちなみに、アタシの家はここの隣! んで、今日はなんだっけ? あはは! ウソウソ、ジョーダンだって。今日は料理しながら作り方をアタシがしゃべって、録音する日でしょ。ちゃーんと準備してるってば。え、料理の前にお肉についての注意点? そんなのあったっけ……あ、ホントだ。アタシのメモに「味と質について話す!」って書いてあるや。あ、ダイジョブダイジョブ! お料理する前に、お茶しながら話そうと思ってたから。そこに座ってて!
はーい、お待たせー。お茶とお菓子持ってきたよ。オレンジペコと、サブレとレモンカード! んー、いい香り……どしたの? えー、そりゃお菓子だって作るよ。アタシこれでも一応「料理家」なんだから。サブレもレモンカードもアタシの手作りだよ! さあさあ、食べて食べて! レモンカードをサブレにたーっぷりぬって、あむ……うん、甘酸っぱくてサクサクでンマーイ! アタシ、お肉が大好きだけど、お菓子も大好きなんだよね。オーブンでクッキーが焼けるときのふわーってした匂いとか、焼きたてのスフレのふわふわトロトロの食感とかもうたまんないよねー……。脳みそがとろけちゃう。あ、脳みそはね、カットして、ショウガと一緒に下茹でして、丁寧に裏ごしをしてペーストにしてね。そこに砂糖、生クリーム、バニラエッセンスを加えて混ぜて、プリン型に流し込んで、冷凍庫で冷やして固めるとアイスクリームみたいでおいしいよ! ……あー、ごめん。また脱線しちゃったねー。んーと、お肉の質と味ね……。ま、お肉を調理する前に考えなきゃいけないのは、そのお肉がどういう風味で、どんな肉質かってことかな。肉質が固いのか水っぽいのか、ダシを取った時にどんな風味なのかで作る料理が変わるんだよね。ひとついい例があってね、アタシ、年に何回かノウサギを知り合いのハンターさんに仕留めてもらって、毛つきのままチルドで送ってもらってるんだけどね。え、自分じゃやらないよー。アタシ、これでも世を忍ばないといけない人種だもん。狩猟免許なんて持てないよー。運転免許は持ってるケド。ま、それは置いといて、ノウサギは季節ごとに風味が変わる不思議なお肉でね。なんでそーなるかって言うと、食べてるエサのせい変わるんだよねー。特にそれを感じられるのがブイヨン! 骨を30分煮込んでブイヨンを取ってサッと塩で味付けしてね、ノウサギの頭をオーブンで焼いて、蒸し焼きになった脳みそを取り出して、スプーンに乗せてブイヨンに浸して口にいれるともービックリ! 春と夏は青草みたいにさわやかな香りで、秋と冬は枯草みたいな落ち着いた香りなんだよ! すごいよねー。あんなにちっちゃい動物なのに、ものすっごく味が深いんだから。んで、これは人肉でも同じ。煙草吸ってる子からは煙草の臭いがお肉からするし、ジャンクフードばっかり食べてる子はしょっぱいお肉なんだよね。煙草の臭いがするお肉でシチューなんて作ったらオエー! ってなるけど、カレーにすると、スパイスとの相性がよくてめちゃウマになるし、しょっぱいお肉はハンバーグとか、ステーキに向いてるねー。あとは固い肉か水っぽい肉かだね。例えば、そうだねー……地元のサッカークラブに所属してる女の子と、ちょいポチャなお菓子好きの女の子がいたとするね。よく運動してるサッカーの子は引き締まった固めのお肉でステーキやローストなんかに向いてるね、運動が苦手なお菓子の子は水っぽくて柔らかいお肉でスープや煮込み料理に向いてるんだ! 肉質は気を付けないといけないねー。固いお肉を煮込んだりすると、噛んでも噛んでも噛み切れなかったりするし、水っぽい肉を焼いたりすると、肉からうま味がぜーんぶ抜けて薄味になっちゃう! ま、ぶっちゃけ人肉の味と肉質は人それぞれに違う! だから、人肉を料理するときは試食がものすごーく重要なワケ。試食って言ってもそんなに気負わなくてダイジョーブ! 二の腕のお肉をちっちゃくカットして、生で、焼いて、茹でて、蒸して、シンプルに調理して食べるだけ! これをやっておくと、調理によってお肉がどう変化するか、どんな味になるかを知ることができるから、絶対やっておいた方がいいよ。せーっかく食べるんだから、その子をいっちばんおいしい食べ方で食べてあげないとね!
きちんと寝かせてから使おうね!
んー……オレンジペコってなんでこんなにいい香りなんだろーね。デザートのムースに使おうかなー。あ、それでね来週の肉の会の定例会で出すお料理だけど、スープは大麦のスープにして、メインはヒレ肉のステーキにリンゴベースのソースをかけてだそっか。んで、デザートは……オレンジペコを入れたスフレにしよーよ! スフレってふわふわで春っぽくていいよね。んじゃ材料はよろしくねー。みんなたくさん食べるだろーから、2,3人さらっといてね。うん、うん……はーい、よろしくー。ゴメンネー、お仕事の電話で待たせちゃったね。えっと、どこまで話したっけ……んーと、お肉を寝かす話だったね。動物を殺すと死後硬直が起きて、お肉がものすごーく固くなっちゃうの。お肉ブヨブヨのおデブちゃんでもね。もちろん、そんなかたーいお肉でも、ミートハンマーでガンガン叩けばやわらかくなるんだけど、、その状態のお肉はあんまりおいしくないんだよねー。捌いてすぐならやわらかいし、血の風味を楽しめるんだけど、固いお肉は香りも味も薄くなっちゃうしねー。だからね、お肉が傷まないように冷蔵庫でお肉を寝かせてあげるの。そんで時間がたつと、 お肉の解硬がはじまって、死後硬直がなくなって、お肉はやわらかくなるってわけ! これは熟成または、エイジングっていって、おいしくてやわらかーいお肉を作るためにかかせないテクニックだから、しっかり覚えてね! 休ませる目安はねー、牛さんは10~14日、豚さんは5~7日、鳥ちゃんは1~2日、それと大人は7~10日、子供は4~6日ぐらいだね。お料理する前の下準備はこんなかんじかなー。あ、ちなみに今回お肉にした子なんだけどー、肉質はちょい固めで、ちょーどいいしょっぱさだから、煮てよし、焼いてよし、揚げてよしで、いいお肉だからなんでも作れちゃう! 今日は腕によりをかけて、たっくさんおいしいご飯を作るからね!
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