第一章 お肉を捕まえよう!

女子小学生がちょーどいい!


 はーい、という訳でアタシとキミはK県Y市の……あっ詳細はダメなんだっけ? うまくぼかしといて! えーと……団地! そう、団地に来てまーす。お肉を捕りにね。時間はちょーど午後の3時だねー。さてさて、アタシはここにどんなお肉を捕りに来たのでしょうか? え、人妻? ノンノン! ヤクルトレディ? それは今アタシがしてる変装! ンモー、じゃあ大ヒント! 例えばキミがその辺にいるOLさんを捕まえて捌いて食べちゃうとしよう。「ひとりで食べきれる」かな? そう、食べきれないよね。アタシもたくさん食べるほうだけどさー、ブロック肉を一日で食べきれる自信はないねー。そんなに食べたら胸焼けしちゃう……いやホントホント! だってお肉だけじゃ飽きちゃうしー、お野菜やお魚、いろんなもの食べないと長生きできないよー。せーっかくのお楽しみが満載のジンセーなんだから長く楽しみたいでしょ? え、正解? あーゴメンゴメン、また脱線しちゃった……。この間も料理教室で教えてたら、いつの間にか生徒さんの子育ての相談話になっててね……ってまた脱線しちゃった! えーとね、正解はなんと女子小学生! 3年生ぐらいがいいかな。え、理由? ひとり暮らしの人がきちんと自炊して、お野菜もお魚もバランスよく食べるならちょーどいいお肉の量なんだよねー。だいたい1ヶ月ぐらいで食べきれるよ!


しっかりと観察しよう!


 さーて、どの子にしよっかなー……キミはどの子がいい? ほら、あの下校する小学生たちを見て見て! ふんふん……列の後ろにいるオトナシー子? ブッブー! 不正解! 正解はねー、中心でゲラゲラ笑って騒いでる子。あれ、納得してないねー。ま、見てれば分かるよー……お、あの子が列から離れるよ! ほら、あの子さっきまでゲラゲラ笑ってたのに、列から離れたら静かになっちゃったねー。しかもなんかシュンと落ち込んじゃってる。あーいう子はね、家にいるより学校やお友だちと一緒にいるのが楽しいの。パパもママも共働きで、家でヒトリボッチだからさみしいの……。つまり、家に押し入っても騒ぐのはあの子だけ。黙らせるのなんて簡単だよねー。んでんで、キミが最初に選んだ子は逆、学校より家にいるのが楽しいから、騒いだりはしゃいだりしないの。家に優しいお母さんがいるからねー。まだ納得できない? じゃあ、あの子の家に行ってみよっか!



押し入っちゃえ!


 え、ナニナニー? 押し入るなんて聞いてない? あのね、そのためにワザワザこんなカッコしてるんだよ。ヤクルトレディの服を着て、タトゥーはBBクリーム塗って隠して、ピアスだっておとなしめのに変えてるんだから! どっからどー見てもヤクルトレディでしょ?こーいうトコで怪しまれないのは「主婦」と「宅配員」と「ヤクルトレディ」なの。まー、アタシは「主婦」ってガラじゃないしー。「宅配員」だとトラック用意しないといけないしー。お手軽なのは「ヤクルトレディ」なんだよね!大きな保冷カートを怪しまれずに持ち歩けるから、捌いたあとのお肉を運びやすいよ! このカートタイプの保冷ケースはホント便利! 肉も道具もしまえるし、あ、当然ヤクルトもしまってあるよ。そうそう、ちなみにねー、この服と保冷ケースを持ってたヤクルトレディの加奈枝さんだったかな。圧力鍋でお子さんと一緒に煮込んで食べちゃった! あの時の角煮、オイシカッタナー……。お、あの子が家に入ったよ。じゃ、行こっか!

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