いつしか箒になっていた

水白 建人

第1話

 ウチはつくがみだなんて――こほん。

 わたしはこれまで、古い道具であればなんにでも宿るという付喪神の存在を信じていなかった。なんせ見たことがない。だから「いるわけない」と決めつけていたのである。

 お父さん、お母さん。わたし、はたミキはいったいなにが悪かったんでしょうか?

(あの程度でばちが当たった? ほんとありえない……!)

 わたしは息を切らしながら走りれた通学路アスファルトの上で振り返る。

「家に来て少し休んだら――」

「わしも世話になっとるお医者様に――」

「ってか彼氏とかって――」

 やっぱりオバケが追ってきていた。人の言葉をすらすら話す、世にもおかしなほうきの群れだ。

 まるで現実離れした悪夢のよう。けれど、体ははっきりときょうを覚え、しきりにふるえ続けていた。

 体というにはあまりにか細い、たけぼうきの身でありながら。

「こんなの、付喪神のせいじゃなきゃなんだっていうのよぉぉーー……!?」

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