第6話 宰相side

王が異界から勇者達を召喚したみたいだ。


王と私が説明をし、勇者達は、それぞれ部屋に行った。


私が今後の事で書類を整理していると、食堂で勇者達が騒いでると報告が来た。


はぁ、めんどくさい。


まったく……勇者と言っても所詮平民か……


私は、食堂に行くと何と勇者達は、料理が不味いと騒いでいた。



「この世界の料理は、こんなにも不味いんですか?!

僕らはこんな不味い料理食べたことありません!

スープは、野菜は火を通ってないし、こい塩味。肉はゴムのように固くて、これも塩コショウの濃い味。ロールパンは、何かパンでは、無い音してますよ!

どうか、この如月さんを厨房に立たせては下さいませんか?」


そう言って勇者達の代表の物がある1人の女を出てきた。


フムフム。

胸や、肌は、綺麗じゃないか。顔は、置いておくとして、声も案外いい声だし、1度いい声で泣かせてみるのもありだな……

気が弱そうだし、上手く利用すれば勇者全員が利用出来るかも知れん。



……と言うか、物凄い言われようだ。


この国随一のシェフの腕によりを掛けた料理が不味いと……勇者達の味覚はどうなっているのだ?


「 では、いちど今出されているものを食べさせていただいても?」


「あぁ、どうぞ!」


ふむ、私は、ひと口食べたが、うん。上手いじゃないか。


「美味しいでは、ありませんか」


「ということは、皆!この世界の料理は、絶望的だという事が決定した!」


「「「「「「「「「えーーー」」」」」」」」」


「ふむ、そのキサラギ様という者は、料理が出来るのですか?」


「ええ。僕らの世界では誰しもが料理をしていて、如月さんが僕達の中で1番料理が上手いんです。」


「では、そのキサラギ様が不味い料理を私に出したら、勇者様方は、この国に一生使えると誓えますか?」


「いいでしょう。誓いますよ。その代わり如月さんの料理が不味かっら一生作らせない、レシピを教えない。も追加です。」


かかった……これで私が絶対に上手いと言わなければいい話だ。


「では、そうと決まったら契約書にサインを」


抜かりは無い。


そう言って懐から羽根ペンとインクを出し、紙にサラサラと書いていく。


「どうぞ。」


サラサラ


「契約は、完了です。」


「じゃあ、1時間後……ここで、料理を出しておけば良いですか?」


「分かりました。」


弱気過ぎたか?……まぁいい。1時間後が楽しみだ。



1時間後



私は、食堂に向かうと今まで嗅いだことの無い食欲をそそる様な匂いがして来た。


私は、バッっと食堂を見ると、何とも美味しそうに勇者達が何やら白い料理を食べていた。


「おや、宰相さん。美味しいと言いに来ましたね。」


「おぉ、代表君。匂いは、いい匂いがするが、味は分からないよ。」


「そう言っていられるのも、今のうちですよ。如月さん!宰相さんの分を!」


「は、はい…」


そう言って空いている席に白いスープを置いていた。


私は、その席に座り、スプーンを持つ。


「お上がり、下、さい。」


「ふむ、では頂こう。」


ひと口。


……


な、何だ、これは!まろやかで、コクがあり、野菜が甘みを持っている。そして柔らかい。優しい味だ……たまにシェフが当たりの味を出す時と比べ物にならん!


こんな上手い食べ物たべたことが無い!勇者達は、毎日こんなにもおいしい料理を食べていたのか!?


「どうです?宰相?」


「ふ、フッ、美味いわけなかろう。まぁ、これは勿体ないから全て食べてやろうが……」


危ない危ない……危うく、認めるところだった。


「美味しくなかったんですね?では、これは要らないということで、おかわりも全て私達が食べさせていただきたす。」


そう言って代表君は、私の前の料理をヒョイっと取ってしまう。


何?!お代わりもあったのか?!


「ま、待ってくれ。おかわりも全て私が食べよう。」


「何でですか?美味しく無かったのですよね?なら食べなくて良いですよ。」


「い、いや、勇者様方にこんな不味い料理を食べさせないようにと……」


「ああ、その心配は、ご無用です。私達は、好物ですので。皆!おかわりも欲しいよな?」


「「「「「「「「(こくこく)」」」」」」」」


「ほらね?皆、宰相さんは、美味しくないみたいだから皆で残りを食べようか。」


「「「「「「「(わーーーい)」」」」」」」


なぬっ!?


この料理を全て食べられてしまうのか?!


それは嫌だ!欲しい。あの味を知ってしまった後にいらないなんて言えぬっ!


「い、いや、待ってくれ!!美味しい!美味しかったから、全て私にくれ!」


「契約成立ですね。」


そう言って代表君は、私の前に料理を置いた。


ホッ……あっ!不味い!美味しいと言ってしまった。まんまとしてやられた!


「お、お粗末さま、でした」


最後に少女が一言意味のわからないことを言っていた……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る