第9話 キスの魔法・・・本当のあなたを教えて・・・

二人と別れて、夜道を帰る中、クリスマスというのもありイルミネーションが明々と輝いている。


滅多に経験しないから案外、こういうのも良いかもしれない。



だけど――――



寂しすぎる。




「…彼氏のいない一人の夜は…寂しすぎる…」



「………………」



「…しかもクリスマスだよ…」




グイッと私の肩を抱き寄せる人影。



「きゃあっ!」



振り向くと至近距離にある顔なじみの香月 瀏介がいた。




ドキッ



まさかの偶然の遭遇に、ただ、ただ、驚くしかなかった。




「香月 瀏介!?」




ドキン

キスされた。



「夜道の一人歩きは危険過ぎるだろう?何してんの?」


「いや…バイト先の人達とバイト終わった後、出かけたその帰りで……」

「男?」

「まあ……でも、女の子もいたし…」


「送ってもらえば良かったじゃん」


「いや…断った。寄りたい所もあったし…一緒にいた女の子が、バイト先の先輩…一緒にいた人が気になるって言ってたし…瀏介さんは?彼女とデート?それともナンパ?」


「どっちも外れ!」

「えっ?」

「第一、クリスマスにナンパする奴いねーだろう?」

「いるよー!! 瀏介さん!」

「はあぁっ!?」

「第一、いきなりキスしてくる奴…」




グイッと後頭部を押し、言い終える前に私の唇を塞いだ。


唇が離れると、再びキスをされ、今迄にない深い大人のキスをされた。


付き合っていないのについ雰囲気に流されてしまった自分が情けない。


コイツのキスに魔法がかかってしまった。



唇が離れ、至近距離で見つめ合う私達。




「俺に対するその考えをする奴には罰!」


「何それ!意味分かんないんだけど!」


「……なあ……それよりさ……お願いがあるんだけどさ……お前の事……抱いて良い?」





ドキーーッ



「!!!!!」



私は押しのけ、歩き始める。



「ば、馬鹿っ!いきなり何言い出すかと思ったら!」


「だってクリスマスだぜ? 寂しい者同士良いじゃん!」


「やだ!好きでもないし恋人同士でもないんだよ!私を都合の良い女にしないで!」


「……初めてだしな…お前」

「そうだよ!」



「………………」



「じゃあ、俺がお前の事、本気に考えるなら良い?」


「えっ?」




足を止める私。



瀏介さんも足を止めた。




「正直…俺…お前の事気になるんだけど」




ドキッ




「今迄、確かに色々な女連れ込んでたけど、それは一切辞めて全ての女と縁切った」


「えっ!?……嘘……」


「……それに…俺…お前が他の男と仲良くしたり、一緒にいたりすんの…すっげー嫌なんだよ!」



「…瀏介…」


「今日も……十哉に嫉妬している自分がいたし、男と出かけたとか言うし……前の合コンで他の男と仲良く話をしているのを見てると、すっげームカついている自分がいて……」



「………………」



「あー…俺…コイツの事好きなんだって……」



「………………」



「晶……俺との事……考えて欲しい…」




ドキン




「ゆっくりで良いから…」




おでこにキスされた。


ドキン



「こんな時に限って唇にしないんだ」

「…それは…」



「………………」



「普通逆だよ!普段キスしまくるくせに」


「しまくってねーし!」

「だけど、ファーストキス失恋した時に奪われた!あんな奪われ方なぃ……」




スッと頬に触れ優しいキスをされた。



「………………」



「だったら今のをファーストキスにすれば?」

「…今更…ん…」



キスで唇が塞がれた。



「………………」



私は下にうつ向く。




「もうっ! 瀏介のキスは変な魔法がかかる!どれだけの女の人とキスしまくったの!?頭がおかしくなりそうだよ!」



私はスタスタ歩き始める。




「あっ!おいっ!晶!」






正直恥ずかしい


コイツに


振り回されてる気がする




――― だけど ―――




コイツとするキスは


嫌いじゃないのが本音だ


何を大胆にさせるのだろう?




それとも


私も好きになりかけてる?


すでにコイツに恋!?


ただ自分が気付いてないだけ?






グイッと引き止め背後から抱きしめた。



ドキン




「晶……やっぱ……お前に触れたい……」




ドキン



「……瀏介……?」




背後から抱きしめられた状態でキスをされる。




「初めてだから無理にしようと思わねーけど…」




私は抱きしめられた体を離し両頬に触れ瀏介にキスをした。



「……信じて良い?」

「えっ?」

「瀏介の事……」

「信じて欲しい……いや、信じろ!チャンス逃したくねーから」



私を抱きしめる瀏介。


私も瀏介を抱きしめ返した。





何をそうさせる?


本当に後悔しない?



アパートに帰り、瀏介の部屋に行く。



「瀏介……やっぱ……」

「別に止めやしないけど?さっきも言ったように無理にしようと思わないから」

「……一回……自分の部屋に戻ってシャワー浴びてくる」

「どうぞ」



「………………」




私は自分の部屋に戻り、シャワーを浴び湯船に浸かる。



「……どうしよう…??」



私は、取り合えず瀏介の部屋に行く事にした。



「どうぞ」と、迎える瀏介。



「………………」



ポンと頭をする。


ドキン



「難しく考えなくて良いから…お前は初めてなんだから無理するな。自分のタイミング覚悟決めた時で良いから。時間はあるんだし」



私は瀏介に抱きつく。






言い合って喧嘩してる瀏介


だけど


今日の瀏介は違う人みたいで


私の胸はざわついていた




「あれ……? 瀏介……部屋の模様替えした?」

「したけど?」

「本気で心機一転したんだね」

「そうでもしなきゃ……俺自身変われない気がするし。やっぱ身の回りも必要だろ?」

「そっか……」



私は瀏介にキスをした。



「晶……?」

「色気……ないかもしれないけど……」

「えっ?」


「私……まだ瀏介への想いハッキリしていない部分あるけど……でも……本気で考えてくれる事信じて……私も瀏介の想い応えるようにするから……瀏介に全て捧げて良いかな?」


「……良いのか?」




私は、ゆっくり頷いた。



瀏介はキスをした。



「怖くなったら言いな。すぐ辞めるから」




ドキン


今迄、見た事のない優しい眼差しと大切なものを扱うような瀏介の態度に私の胸がざわつく中、ドキドキ加速する。



「………………」





違う人みたいだった……


これが私の知らない瀏介のなんだと……


みんなこれで騙されてきたの?


それとも結婚するはずだった


彼女しか知らない瀏介の本当の顔?





「……瀏介……」

「怖い?辞めようか?」

「……辞めないで……続けて良いから……」



キスをされ、深いキスをされる。



あなたをもっと知りたい……




「……瀏介の事……もっと……知りたい……」


「……えっ?」


「……瀏介の事……もっと……教えて……」


「……晶……?」


「結婚するはずだった…彼女は……私の知らない…瀏介を…知って…いるんだよね……今……私の目の前にいる瀏介は……?」



「…………」



「今迄……沢山の女の人は…どんな瀏介を見てきたの……?私は……瀏介の特別な女の子になれる……?」




次の瞬間 ――――




瀏介は、私の両肩に手をかけグッと手に力を込めるようにすると、私の身体に痛みが広がり、瀏介はそのまま静かにゆっくりと首スジに顔を埋めた。


二人の身体が重なった瞬間だった。




「お前は…もう…俺の中で…特別だから…」



ドキン


私は涙が何故かこぼれ落ちた。



微かな痛みが広がる中、女の子から女になった瞬間を身体に感じながら ――――



「慣れるまでしばらく我慢しなきゃなんねーけど…よく頑張ったな…晶……」


「…瀏介……」



瀏介はキスをし、深いキスを何度もする。



「今……目の前にいる俺は…特別な相手にしか見せない本当の俺だから…愛してる…晶……」




ドキン



「お前が俺の事考えてくれるように何度も何度も言うし…何度も何度も抱きしめてやるから…」



私は瀏介に抱きついた。







次の日 ――――



目を覚ますと隣には瀏介の姿。


ドキン



≪……そうか……そういえば…≫



私は瀏介の胸に顔を埋めた。



「…晶…?」



頭を撫でながらおでこにキスされた。




「今日、バイトは?」

「……休み……」

「じゃあデートする?」

「…うん…したい…」

「分かった…じゃあ行くか?」

「うん…部屋に戻って準備して来る」

「ああ」




ズキッ

起き上がり立ち上がる私に待ち受けていたのは



≪…痛い…≫

≪何?この違和感…≫



「晶?そういや……ごめん、体大丈夫か?」

「……瀏介……痛い……」



瀏介は、お姫様抱っこをしベッドに乗せた。




「座れるか?」

「……何とか……」




肩を抱き寄せる。




「ごめん。気が利かなくて……でも大人になった証拠だから…よく頑張ったな。今日はアパートで過ごそう」


「大丈夫。出掛けよう」

「晶……」

「瀏介と出かけたい」




キスをすると深いキスをした。




「分かった。じゃあ出掛けよう」

「うん…」

「今日、バイトじゃなくて良かったな」

「…うん…痛くてバイト所じゃなかったかも…」

「そうかもな」



瀏介はもう一度キスをした。



















































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