第7話 イヴの予定

「晶ちゃん、クリスマスイブ何か予定ある?」



一希さんが尋ねてきた。



「イヴ、バイトですよ」

「その後の予定は~?」

「特にないですよ」

「じゃあ、その日、私の部屋でパーティーしようと思ってぇ~。どお?」


「25日は?」

「私が都合悪くてぇ~」

「そうなんですね」

「そう!家族とディナーに行くのよ~♪」

「へぇー、一希さん家族思いなんですね 」


「だって両親がいるから、私がいるのよぉ~♪ こんなだけどぉ~」

「どんな一希さんでも、一希さんですよ。同じ人間なんですから」

「ありがとう♪ じゃあ、24日、お願いね♪」

「はい!」





――― 数日後 ――――



コンコン


一希さんの部屋のドアをノックする。




カチャ

ドアが開く?



「どうしたの?」

「うわぁ!」

「ごめんなさい。パックしてて」

「いいえ。あのクリスマスプレゼントとの用意は?」

「出費が嵩むだけよ。飲んで、食べて、騒ぐだけよ。何もいらないわ~」


「分かりました。すみません。パック中に」

「いいえ~じゃあ、おやすみ~」

「はい、おやすみなさい」



私は部屋に戻ろうとしたら、瀏介さんの部屋のドアが開く。



「今からお出掛けですか?」

「そうだけど?」

「女あさり」

「はあぁっ!? つーかさー、どうして、お前はそういう……」

「そのイメージが抜けていませんので」


「あのなぁ~俺はレンタルショップに行くんだよ!誤解すんな!」


「そうですか。エロビデオ借りに行ってらっしゃい!」


「お前は?」

「えっ?」

「借りたいのとかないの?」

「エロビデオには興味ありません!」

「は?誰もエロビデオなんて言ってもねーし!思ってもいないけど?」


「えっ!?」

「他にもあるだろう?気になっていた映画とか見逃したやつとか」

「あー……」

「どんだけ欲求不満なの?お前」

「ち、違います!」



クスクス笑う瀏介さん。



「じゃあな、おやすみ」

「ま、待って!い、行く!」

「だったら準備して来れば?待ってるから」

「分かった」



私は一旦、部屋に戻り準備して行く事にした。



とは言ったものの特に借りたい物はない。

一先ず、会員証でも作ろうかと思っている所だ。



「何か借りるの?」

「ううん」

「えっ!?」

「だけど、高校卒業して、バイト以外は一人の時間増えたから初めて足を運ぶに近い。取り合えず会員証でも作ろうかなぁ~って」

「あー、良いんじゃねーの?」



レンタルショップ屋さんに着き、私は会員証を作る事にし、その後、店内をまわる。


しかし沢山ありすぎて、決まらない。


目的が定まっていないのもあるんだけど……




しばらくして、瀏介さんはレジで会計をしている事に気付き、私は、外で待つ事にした。



「晶」

「瀏介さん」

「店の中にいろよ!風邪引くだろう?」

「いや、瀏介さんがレジにいる事気付いたから、そう時間も掛からないと思って」

「あのなぁ~後……」



グイッと私の手を掴み歩き始めたかと思ったら肩を抱き寄せ、車の方に歩き始める。



ドキッ



「気を付けろ!」

「えっ?」

「夜に、しかも女一人、お店の外にいたら危険すぎるから」

「えっ!?」



さりげなく、先に私を車に乗せ瀏介さんも車に乗り込む。



「お前、気付いてなかったみたいだから言うけど、自販機の前にいる男、明らかにナンパ目的でお前に近付いて来てたから」


「えっ!?」


「俺が一足先に来たから良かったものの……借りる借りないにしろ店の中にいろよ」

「……ごめん……」

「全く!まあ、俺がお前一人にさせたのもいけなかったけど……で?お前、何も借りてる様子ないけど良かったのか?」


「うん。沢山、色々ありすぎて日を改めて学校帰りにでも寄ろうと思う」

「そっか。じゃあ帰るぞ」

「うん」



私達は帰る事にした。













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