第4話 フレンドデート
私達は、出掛ける日程を決めフレンドデートする事にした。
当日、待ち合わせ場所にいると ―――
背後から抱きしめられるのと同時に
「唯那」
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
すぐ離れると私の前に現れた。
「は、速渡君っ!もうっ!心臓持たないから!」
クスクス笑いながら
「お顔真っ赤だよ」
「当たり前だよ!本当意地悪して!」
「だって唯那ちゃんの反応面白くて!」
「彼女にしてあげなよ」
「彼女は、また特別に扱い違うから。今は唯那ちゃんの反応で十分」
「私はおもちゃじゃないから」
「はいはい。行こう!」
グイッと私の手を掴み私達は出掛けた。
ある日の事だった。
「すみません」
『MISAKI』にまた一人の住人が現れた。
田中 勇希(たなか ゆうき)さん。20歳。初の男の人だ。
「アパートに住む事になったんですけど…娘さんが代理の大屋さんとかで」
「はい。1階と2階どちらにしますか?下見されて決まり次第すぐに今日から住めるように手配しますよ?」
「1階でお願いします!」
「分かりました。1階はまだ住人がいなくて…初の男の人なんで心強いです」
「そうなんですね」
「はい」
私は案内すると男の人を住まわせた。
その後夫婦が住人として現れた。
三木あきらさん。31歳。
あやさん。32歳。
夫婦は1階でとの事だったので1階の部屋を案内した。
ある日の休日。
私の携帯に着信が入る。
「もしもし?」
「唯那ちゃん? 速渡だけど、今、何してる?」
「今、家にいるよ」
「何か予定ある?」
「ううん、ないよ」
「じゃあ、出掛けない?」
「うん、良いよ」
「じゃあ待ち合わせしよう」
「うん、分かった」
私達は待ち合わせをする。
グイッと手首を掴まれ振り返らせると誰かの胸の中にスッポリと納まった。
「お待たせ!岬 唯那さん」
「えっ?速渡…君?」
抱きしめられた体を離す。
ドキッ
至近距離の顔に胸が大きく跳ねる。
「もうっ!」
クスクス笑う速渡君。
「相変わらずなんだから!」
「ごめん、ごめん」
私達は出掛け、1日を楽しんだ。
その日の別れ際 ―――
「唯那ちゃん」
「何?」
「もし、俺達の間に恋愛感情が芽生えたら、お互い遠慮なく気持ち伝え合おう」
「えっ?」
「仲が壊れるとか、そんな理由は考えないで欲しいんだ」
「速渡君……」
「後悔したくないから」
「うん、分かった」
アパートに帰ると ―――
「唯那ちゃん、おかえり~。デートやったん?」
「えっ!? デート? 違いますよ! 友達と出掛けて来たんです」
「そんな事言って、男なんちゃうの~?」
「確かに男の子だけど別に付き合っている訳じゃないですし」
「それをフレンドデートと言うんですよ! 唯那さん」
「きゃあっ! ゆ、裕利さんっ!」
背後から声をかけられ、驚く中、クイッと眼鏡をあげた。
「男と女の友情は、いずれ恋愛感情が芽生える。だから人間とは面白い。まあ、絶対ではありませんが、無い話ではありません!」
私達は少し話をして別れた。
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