第3話 新しい住人

「すみません、こちらのアパートに住みたいんですけど……娘さんがいるって事聞いて」


「はい!部屋を見てもらって選んで貰います。一階と二階、どちらが良いですか?」


「二階でお願いします」

「二階ですね。案内します」




今日から新しい住人が現れた。


木元 裕利(きもと ゆうり)さん。25歳。


眼鏡をかけている女の人だ。


私は部屋を見せ、彼女を住まわせた。





ある日の事 ―――



「岬 唯那さん」



ファーストフード店に一人でいると誰かが私の名前を呼んだ。



「悠木君」

「隣いい?」

「うん」



カウンターみたいな席に座っていた私の隣に腰をおろす。




「カッコイイ…」

「彼氏かな…?」

「超羨ましいんだけど…」



周囲の女子高生が囁いている声が聞こえてきた。



≪えっ!?彼氏?悠木君、目立ってるんだ≫

≪確かにカッコイイけど、私とそう見えるのかな?≫


≪いや…悠木君レベルならもっとレベル高い系女子だよ…≫



「一人でファーストフード店って淋しくない?」


「ファーストフード店は、滅多に寄らないから今日は偶々」

「じゃあ、俺達を会わせる為に、ファーストフード店に導かれたのかな?」

「悠木君も一人?」


「うん。俺は友達つくらないから。でも君とは仲良くしたいと思ったから。友達になって欲しいって頼んだ」


「そうなんだ!だけど、悠木君カッコイイから、彼女いてもおかしくないよね?」

「そういう君も可愛いのに、彼氏いないのが不思議なんだけど」


「そうかな?」

「そうだよ」

「それじゃ、また」

「俺も帰る」



私達は店を後に帰り始める。



「ねえ、君の事、どう呼べば良い?」

「えっ?別に好きなように呼んで良いよ」

「じゃあ、唯那ちゃん。俺の事も下の名前で良いよ」


「じゃあ……速渡君だね?ところで速渡君、モテモテじゃない?」

「えっ?俺? どうなんだろう?」

「告白される事多くない?」

「確かに……1日に…何人かに告白されてる」


「1日に……何人か……!?それモテてるから」

「じゃあ、モテモテの俺と友達の唯那ちゃんはラッキーだね♪」

「それは…否定しないかな?」

「否定しないんだ!」


「いや…だってさっきファーストフード店にいたら、女子高生が囁いていたから……カッコイイって…」

「あー確かに聞こえてた。唯那ちゃんに意地悪してカップルみたいな事したら驚くだろうなぁ~?と思ったけど辞めた!反応見て見たかったけど」



微笑む速渡君。



ドキン




「反応見て見たいって…速渡君っ!」




クスクス笑う速渡君。





憎めない


イタズラ好きなんだろうなと


思った瞬間だった




≪恋人同士なったら楽しいんだろうなぁ~≫

≪きっと速渡君は変わらない気がする≫





ある日の学校帰り ―――




「ねえ彼女、俺と付き合ってよ」



グイッと肩を抱き寄せられた。




「きゃあっ!」




ドキッ

至近距離の顔に胸が大きく跳ねあがった。




「速渡君っ!?」

「うわぁ…!凄い真っ赤なんだけど!」

「あ、当たり前だよ!イケメンの顔が目の前に合ったら真っ赤になるから!」

「可愛い~♪」

「からかわないの!」



私達は色々話しをしながら帰る。



「ところで、唯那ちゃんって休日、何してるの?」


「家にいるよ」

「友達と出掛けたりしないの?」


「うん。どちらかと言うと一人が気楽だから。彼氏がいたら出掛けたりするけど…今は家にいる事がほとんどかな? 速渡君は?」


「俺は、その日によって違うから。出掛けたりする事もあれば、家にいたりしてる。彼女がいたらデートする為に外出するかな?」


「そうなんだね」


「1回出掛ける?」

「えっ?」

「どう?」

「別に良いよ。速渡君が良ければ」

「じゃあ、出掛けよう!」

「うん」



私達は連絡を交換しあった。





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