第6話戦争と戦争の間2
レイに呼び出されて、のこのこレイの自室に至る訳だが、つくづく自重しよう。海軍軍人は紳士たらねばならない、丘の上でならともかく、艦内でエロい事してるのがバレたら軍法会議しか思い浮かばない。軍令部からもつくづく自重しろと言われている。丘の上では知らんという処は海軍らしいが、今は艦内なのだ。
レイの部屋をノックする。レイ達擬人化兵器は個室を与えられている。流石に18歳位の少女にしか見えない彼女達を他の将兵の近くの部屋にする訳にはいかないのだろう。
「レイ、来たよ」
「……仕方ないわね。ホントに来るのだなんて。小隊長が喜々として私を襲いに来るだろうという事は予想していたけど、こんなに早く堂々とくるとは、いいから、 早く入りなさい」
なんか、言っている事矛盾してない?
レイの部屋に入ると、女の子らしく片付いた綺麗な部屋だった。でも、僕は直ぐにぎょっとしてしまった。見てはいけないものを見てしまった感覚。レイはドSお嬢様発言をして僕を自室に誘った癖に、既にドM全開の様だった。レイの細くて白い首には赤いチョーカー…いや、首輪がついていた。リードもついているから見間違いじゃないだろう。
「えっと、レイ?」
「ホントに愚図ね、どうしてさっさと…あなたのモノにしないの…そうしたら…こんな事しないですむのに…」
え? ドS? ドM? どっち目線の発言?
「うぁ…」
思わず僕はうわぁと遠い目をしてしまった。レイは黒を基調としたブレザーの学生服もどきを着ている。スカートはチェックだけど黒が基調。それに黒のニーハイ、黒のローファー、レイの長い黒い艶やかな黒髪…いや、もうどう考えてもドS女王様だよね? それなのに首に奴隷みたいな首輪が…
「く、く、び、わ?」
レイの長くて白くて綺麗な脚とブレザーの制服もどきと、これでもかと押し上げる二つの双丘は首輪と合わせて、レイをとても煽情的なモノへとならしめていた。首輪というたった一つの異物がここまで破壊力があるとは思わなかった。それは多分お手製なのだろう。だけど、チョカーではない、あまりに武骨過ぎる。それは自身を美しく見せる為のものではなく、自身を堕としめる目的で作られた物だから…イメージはブルドッグ用のごつごつした首輪だろう。僕は戸惑うしかなかったけど、レイはおもむろにリードを引いて、僕に渡した。そっと、頬を赤く染めて、まるで、恋する美少女が意中の男性にバレンタインのチョコを渡すがのごとく、そっと、僕を見つめながら、リードを渡す…
「小隊長、早くレイを小隊長のペットにしてください」
「ええ!?」
「レイ、早く小隊長の犬になりたいんです」
「いや、犬って? ちょっと待ってよ!」
「だから、ご褒美あげるって言ったじゃないですか?」
「聞いたけど、これ、ご褒美なの?」
「はい、レイをご主人様のペットにしてください」
いや、これはレイへのご褒美だろ?
「いや、レイは人間、いや、擬人化兵器だけど、僕は人間として接してるよ」
「レイはペットとして小隊長に飼い主になって欲しいのです」
「いや、もう迷路に入りそうなんだけど?」
「もう、早くそんな迷路から抜け出して、私をお散歩に連れて行ってください」
レイはグイグイ僕にリードを渡す。これ、レイをリードで引っ張って、艦内をお散歩するって事? 僕、軍法会議確実だよね?
「あっ!? ちょ、ちょっと、レイ、 何しゃがんでるの!」
レイは四つん這いになってしまった。せめて二足歩行のお散歩にしようよ。いや、十分アウトなんだけど…
「言う事を聞かない駄犬は叱って、お尻を叩けばいいのですよ」
顔を赤らめ、レイがちょっとハアハアしている。見たくない、美少女のこんな様は見たくない。完全に雌豚、いや、雌犬に成り下がっている。
「僕は女の子をペットみたいに扱う事はできないよ。だから、こうしよう、先ずは普通の交際をしようよ。それとも、こういう扱いをしないと僕を好きになってくれないし、付き合ってもくれないの?」
「そ、そんな事は、レイ…ずっと好きだったんです? 気がついてたんでしょう? 今更何を? レイ、恥ずかしいです」
「じゃ、最初は普通の交際しよ」
「ご主人様の命令なら」
「…命令」
「…はい」
僕はレイに近づいて、レイの首輪を外した。皮の首輪がレイの細い首に食い込んでいる。こんな事するなんて…レイは僕のなすがままだった。首輪を外されても、レイはとろりとした表情で僕を見ていた。レイは変態だけど、僕の事が好きなんだ。そう思うと嬉しかった。
「レイ、キスしよっか?」
「は、はい、ご主人様!」
「ご主人様じゃないよ。葵と呼んで、僕の名前、ご主人様じゃないよ。不知火葵だよ」
「あ、そんなご主人様の尊い尊名を呼ぶのだなんて…」
いや、そんな大した事じゃないだろ? レイ? レイは躊躇う様な仕草をしたけど、おずおずと言った。
「あ、葵、キ、キスして!」
「うん、レイ」
僕はレイの肩を寄せると、レイは上を向いて目をつむった。こうしてみるとホント美少女だな。仕草も美少女に相応しい。僕は唇をレイの唇に合わせた。
「んんんん~」
レイはおずおずと僕の舌に自分の舌を絡ませてきた。知識は豊富なんだろうな。ドMの変態な上、色情狂だから…でも、経験はないよね。こんなにもぎこちないキス、でも、初々しいキス。僕はレイの舌とレイの口の中をたくさん楽しんだ。柔らかくて滑らかな感触は堪らなかった。
「こういうのは駄目なの?」
レイは下を向くと、自分の唇に指をあて、コテリと首を傾げると、
「とってもいいですよ…」
そういうと、顔を真っ赤にして、ふわりとした笑顔を浮かべた。ああ、本物の美少女の笑顔だ!
「本土に帰ったら、デートしようね」
「は、はい、でも、あ、葵、お願いがあるんです」
「何? レイ?」
「やっぱりレイは変態なんです。だから、レイも普通の女の子として接する代わりに、時々、お尻位はぶってください。そうじゃないと、私…」
「どうなるの?」
「私、死んじゃう!?」
どういう様な理由で死ぬのかな? そんな訳ないよね?
「レイ、僕はノーマルなんだ。レイの様な綺麗な女の子のお尻をぶったりできないよ」
「頑張って、叩いてください。慣れればきっとできます。葵ならきっとできます!?」
なんか、いい方向の頑張りを応援されている様な気がするけど、要求は変態だよね?
「葵なら、きっと、レイのお尻に痣ができる位強くぶてるようになります! そして、次は言葉責め! その次は監禁をしてもらって、次のステップは首輪をつけてお散歩です!?」
僕はしばらく考えた。レイは重度のアレだ。多分治せない。じゃ、僕が変わるしかないのか? それに僕はどちらかというとMだ。Mを克服しないと、ドS行為は無理だ。
「レイ、告白するよ。僕はどちらかというとMだよ。だから、レイの飼い主になるのは難しいよ。むしろ、レイに僕のご主人様になって欲しい位だよ」
ホントに本音はそうなのだ。レイのドSお嬢様口調で責められると結構快感なのだ。レイのおかげですっかりそれがなじんでしまった。
「葵、MとSなんてどちらも同じよ。Mだけに固執するのは良くないわ。私は両方楽しんでるわ。だから、こうしましょう。レイが葵のご主人様になるから、葵はレイの飼い主になって、そうすれば、大丈夫よ」
「えっ? わ、わかったよ」
ええっ!? 僕何言ってんの? 何を説得されているの? これ、僕も変態まっしぐらコースのフラグだよね? レイの事は大好きだけど、ドMになるのも、ドSになるのも嫌なんだけど。僕、承諾しちゃいました。
それに、僕にレイのお尻をぶったりできるのだろうか?
レイは僕の方を見ると、顔を真っ赤にして、ふわりとした笑顔を浮かべた。ああ!? さっきの本物の美少女の笑顔と同じだ!?
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