第36話中国単身赴任(6)

 休日には折角来たのだから杭州市内や臨案なども行って見たが当然通訳無しの一人旅で有る。

 臨案は昔を思わせる情緒ある町であったし、杭州は近代的でサウナ付きの宿屋で毎晩ショウや絵画のオークションを楽しんだ。

 章さんに日本人も紹介してもらったり、市場に行ったときは動物をその場でさばいて売って居たのを思い出し、このような状態ならコロナが発生しても当然と今は思うのである。

 そんな時に起きたのは四川大地震だったが、工場ではそれほどの揺れも感じなかった。


 五月の半ば頃に何となく会社の雰囲気が変わってきているのに気が付き,章さんに聞いたら、雇用の破棄を打診しているらしいとの事、これ以上になると紹介会社への多額な支払いが生じるし、早めに雇用契約を破棄したいと言っているみたいだった。

 雇用の試用期間の事らしい。

 確かに日本国内でも試用期間はあるが、私の場合はわざわざ海外から面接に来て是非との事で契約しているわけで、従業員の雇用条件とは違うような気がするが、紹介会社は果たしてどのような対処をするのであろうか。


 私自身は大きな問題も解決したことだし、すっかり目標を果たした気分で居て、これ以上だらだらと居ても仕方ないので、せっかくだから北京の三一重工にでも寄って帰ろうと章さんに連絡を取って貰った訳だ。

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