第25話夜学時代にお世話のなった鉄工所のその後
私が同級生の父親のやっていた鉄工所はその後どうなったか。
姉にはいずれ酒田に戻るので、内緒にしておいてと言ってあったが、いくら暇であっても、それとも急に仕事が入ったのかは不明だが、結果的には東京で工学校に通って居る長男が呼び戻されたのだ。
まもなく親子で門型クレーンの解体時に、桁を吊っていた移動クレーン車が安定を失って転倒し、親子とも大怪我をしたらしい。
発注元は東北でも大きな会社で、多分多額の補償金が入って新たな工場敷地を買って、企業規模も一気に拡大したのかも知れない。
一時は関東地方でも水処理施設やごみ焼却場等の工事も数多くやっていた程の急成長を遂げたが、あっという間にせっかく工場の新築を済ませたその時、偶然にも私も護岸工事に行っていたのだが、新潟原発の工事を予定していたのに、その工事の受注が、あることで吹っ飛んでしまったのだ。
それは当時飛ぶ鳥を落とす勢いの田中角栄の一言で『県内の仕事なので県内の業者に発注しろ!』であった。
日立、東芝、他の企画業者でこれまでの実績で内諾を決めていたのに、それを跳ね返すだけの勇気は無かったのだろう。
折角その準備の一環で工場を広く新築したのに、返済のめども立たずにあえなく破産した。
その頃私は人手が必要で余った人手を回して貰って居たが、何となく現在まで細々と絆を感じてしまう。
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