第12話中学時代3

 このへんで自分の両親の話を書きとめようと思うが半世紀も前の事だがなるべく思い思いおこして記したいと思う!

 先ず父親はこの集落に生まれ、同じ集落の長女に婿入りし、女、男、男、女と4人の子供をもうけて妻に先立たれたので、周りでは妻の妹と結婚を勧められたが断って、下の女の子だけ引き取って独立し、母と再婚して我々3人を育てた。

 俗に亡くなった妻の妹との再婚は、直ると言って良くある事らしいが、連れて出た下の娘は私より15歳も上なのですぐ同じ集落に嫁いだので、腹違いの兄弟では有るが、一緒に暮らしたことは無かった。

 母は4キロほど下流の集落で生まれ、父に嫁いで3人の子を産んだのだが、5歳くらいには自分の祖父母に会いに一人で歩いて行った記憶が有り、裏庭にはオニヤンマが飛んでいたり、祖父母は喜んでお駄賃をくれたりで、良く遊びに行ったものだ。

 そこは道は悪いが羽黒山への登り口で有り、小学に入ってからは仲間とよく行ったもので有り、その当時は梵鐘も自由に打てたと記憶している。

 父は若い頃よりダム工事や鉱山の仕事で全国を回っていたらしく、ある時東北電力の社員が月の沢から新田まで発電用の水のトンネルの掘方のアドバイスを貰いに来たことが有ったが、そう言えば家には鞴や鏨等の言わば鍛冶屋さんが使う道具が有ったのだ。

 玄関の土間に会ったがのだが、吹雪で荒れていた時、同じ集落に嫁いだ姉が土間に見た事も無い鳥が居たので飼って居るのと聞くので覗いたら雉だった。

 土間で鶏は飼って居たが、雉が舞い込んできたのだが、雪囲いの簾をそっと閉めて逃げ場を無くし3人がかりで捕らえたが、兎とは違いとても美味しい物だと思った。

 その頃はいろいろな種類の肉を食べたが、自分で撮ったのはムササビと雀で、ムササビは川の手袋をして気の穴に手を突っ込み捕まえたが、食べる部分はスズメより少ない位だった。

 スズメはお酒に浸した米をまいて籠を縄で引っ張ってふさいで採るのだが、すばしこいので逃げられることが多かった。

 あとはマムシでこれは危ないので気を付けないと命取りになるが、マムシ酒などせずに皮をむいて焼いて食べると、なかなか旨いものだ。

 最近赤犬の姿が見掛けないと思って居た近所の犬が、なんと猟銃で打って皆で食べたと言うが、それを聞いた時にはさすがにげんなりしたのを覚えて居る。

学校行事に野兎狩りが有ったが、学校の西山で全校生徒が横一列になって林の中の兎を追い出すが、兎がびっくりして逃げ出したところを、3人の猟銃を構えて待って居る集落の住民が逃げて来た兎を撃ち取るが、それをさばいて学校田でとれたもち米で農業祭になるのだが、多くは生徒はあんこ餅が好きで、私はその頃は肉餅派だった。

 私が酒田に出て二年後に父は61歳で肺がんで亡くなったが、実家は姉に継がせて既に婿を取ってその頃は4歳くらいの甥が生まれていたので、私は実家に戻る必要も無く糸の切れたトンボ状態の酒田時代を暮らしていた結末が今日でもある。

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